【獣医師執筆】犬はナッツを食べて大丈夫?アーモンド・マカダミアなど注意すべき種類を解説

【獣医師執筆】犬はナッツを食べて大丈夫?アーモンド・マカダミアなど注意すべき種類を解説

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犬にとってナッツは注意が必要な食べ物です。少量ならあげてもいいかなと思ってしまうかもしれませんが、食べすぎは肥満につながりますし、中には中毒を引き起こす可能性があるナッツもあります。今回は、ピーナッツ、マカダミアナッツ、クルミ、アーモンドなどの成分や犬に与える際の注意点を紹介します。

犬が注意すべきナッツの種類

ミックスナッツ

ナッツの中でも特に注意が必要なのは マカダミアナッツ(※1)ビターアーモンド(※2) です。ビターアーモンドは野生種で、食品としては出回っていません。

ピーナッツやクルミ、アーモンド(食用のスウィートアーモンド)、カシューナッツ(※3) などは中毒症状は起こさないものの、脂質が豊富なため 肥満の原因 になったり、下痢や嘔吐 など消化器症状を引き起こす可能性があります。

基本的にナッツ類は犬に与えない方が良いでしょう。ピスタチオも脂質が豊富なのは同様で、殻を食べてしまうと腸閉塞の危険があるので、保管方法に注意し、誤飲が起こらないようにしてください。

ピーナッツ

ピーナッツ

ピーナッツは、無塩・無添加で少量であれば問題ないとされますが、脂質が多く、犬によってはアレルギー反応を示す可能性があります。初めて与える際は、少量ずつ様子を見ながらにしましょう。

ピーナッツバターは食べても大丈夫?

ピーナッツバター

市販のピーナッツバターは、砂糖や油分が多く含まれているうえ、キシリトールが添加されている場合もあり、中毒のリスクがあります。与えるべきではありません。

また、ピーナッツチョコレートは、チョコレートの成分(テオブロミン)により中毒を起こすため、絶対に与えないでください。

マカダミアナッツ

マカダミアナッツ

マカダミアナッツは犬にとって特に危険な食材で、少量の摂取でも中毒症状を引き起こすことがあります。具体的な中毒成分は判明していませんが、5〜10粒程度で症状が出たケースもあります。

「少しだけなら大丈夫」と思って与えるのは危険です。体重5kgの小型犬でも、たった数粒で症状が現れる可能性があります。中毒症状が出なかった場合でも、将来的な肝臓や神経系への影響が懸念されるため、マカダミアナッツは絶対に与えないでください。

症状には、嘔吐、発熱、ふらつき、震え、元気消失などがあり、12時間以内に発症するケースが多く報告されています。マカダミアナッツオイルにも注意が必要です。

クルミ・アーモンド

アーモンド

クルミは保存状態によってはカビ毒(ミコトキシン)を含む恐れがあり、神経症状やけいれんを引き起こすことがあります。

アーモンドも脂質が高く、誤嚥・窒息や消化不良の原因となることがあります。いずれも、与えるメリットよりリスクの方が大きいため、避けた方がよいでしょう。

犬が危険なナッツを食べてしまった場合の対処法

伏せる犬

獣医師が的確な判断をすることが重要ですので、飼い主さんが「何を・いつ・どれだけ食べたか」について正しく説明する必要があります。

動物病院へ連絡し、ナッツのパッケージや残りを持参するようにしましょう。 致死量は体重や年齢、犬種によって異なるため、少しでも食べた場合は、念のため動物病院に電話して相談することをおすすめします。

少量でも油断しないで

ナッツの中には、少量で中毒症状を引き起こす危険な種類もあります。特にマカダミアナッツは数粒で症状が出るケースもあり、小型犬や子犬の場合はより注意が必要です。誤食してしまった場合は、「症状が出ていないから大丈夫」と判断せず、すぐに行動しましょう。

時間が経っていても相談するのがおすすめ

食べた直後でなくても、数時間後に症状が出るケースもあります。中毒症状は遅れて現れる場合もあるため、時間が経っていたとしても動物病院へ相談することをおすすめします。

応急処置はしない

飼い主さんが無理に吐かせようとしたり、水やミルクを飲ませたりするのは危険です。誤った対応がかえって症状を悪化させることもあるため、必ず獣医師の指示に従うようにしましょう。

犬がナッツを誤食しないための予防策

ナッツ

ナッツの誤食を防ぐためには、日頃の環境管理と意識づけが重要です。以下のポイントを参考に、愛犬がナッツを誤って食べないように対策を行いましょう。

ナッツは犬の手が届かない場所に保管

ナッツ類は密閉容器に入れて、棚の上や冷蔵庫の中など犬が届かない場所に保管することが基本です。テーブルの上やキッチンカウンターに置きっぱなしにしないよう心がけましょう。

食べ終わったらすぐに片づける

ナッツ入りのお菓子やパンを食べた後の包装も、愛犬が舐めてしまうことがあるため、食後はすぐに片付けるようにしましょう。ゴミ箱にも蓋をつけるなどの工夫も有効です。

来客時やイベント時にも注意

パーティーや来客がある時は、無意識に食べ物を落としてしまう人もいるため注意が必要です。犬を別室に移動させる、来客に食べ物を与えないよう伝えるなどの配慮を行いましょう。

お散歩中の拾い食い防止

道端や公園には落ちたナッツやお菓子がある場合もあります。「拾い食いをさせないしつけ」を行い、口にしそうになったら「ダメ」と伝えるなどの対策も大切です。

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犬とナッツに関するよくある質問(Q&A)

Q1. ナッツを1粒だけ食べてしまったけど大丈夫?

ナッツの種類によって異なります。マカダミアナッツは1粒でも中毒症状が出ることがあります。ピーナッツやカシューナッツなども、下痢や嘔吐のリスクがありますので、少量でも念のため動物病院に相談しましょう。

Q2. 犬がナッツ入りのお菓子(クッキー)を食べてしまったけど大丈夫?

市販の焼き菓子にはナッツだけでなく、バター・砂糖・チョコレートなど犬に有害な成分が含まれている場合があります。特にチョコレートやキシリトールが含まれていると危険です。すぐに成分表示を確認し、動物病院へ連絡してください。

Q3. 少量ならナッツを与えてもいいナッツはある?

無塩・無添加のピーナッツやカシューナッツは、ごく少量であれば与えることが可能とされていますが、あくまでも例外です。脂質が高く、アレルギーや消化不良の原因にもなるため、基本的には与えない方が安全です。

ナッツ以外で気をつけたい食べ物

ナッツ以外にも、犬にとって危険な食材は多数存在します。以下のような食品も、犬の健康に悪影響を与えるリスクがあるため、絶対に与えないよう注意しましょう。

犬の体に合わない食材は私たちの身近にたくさんあります。不安なときは必ず与える前に調べるか、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

まとめ

ナッツ
マカダミアナッツとビターアーモンドは特に危険
その他のナッツも下痢や嘔吐、肥満の可能性があるため与えないほうが良い
食べてしまった場合は自己判断せず獣医師に相談

ナッツ類は私たちにとって身近なおやつですが、犬にとっては命に関わる危険な食材となることもあります。

飼い主さんが正しい知識を持ち、危険な食べ物は犬の手の届かない場所に保管するよう心がけましょう。

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