犬にサマーカットは必要?メリット・デメリットを現役トリマーが解説
夏が近づき、愛犬が暑がる様子から「サマーカットをしたほうが良い?」と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか?毛を短くすることで涼しく過ごせるように見えますが、デメリットもあります。今回は犬のサマーカットのメリット・デメリットや「トイプードル」「チワワ」「ダックスフンド」「ポメラニアン」「柴犬」といった人気犬種のサマーカットスタイルなどを現役トリマーの大森先生が解説します。
犬のサマーカットとは
サマーカットとは、犬の毛をバリカンやハサミなどで短くカットするスタイルです。
さっぱりとしていて、夏場には快適そうに見えるサマーカットですが、被毛によって「向いている犬種」と「不向き犬種」がいます。
向き・不向きな犬種がいる理由
犬は「トリミング犬種」と「グルーミング犬種」に大別できます。この2種類は「放っておくと毛が伸び続ける犬種(トリミング犬種)」と「一定の長さまで伸びたらそれ以上は伸びず、新しい毛に生え変わる犬種(グルーミング犬種)」という点で大きく異なります。
トリミング犬種は放っておくと毛が伸び続け、定期的なカットが必要になるため、ある程度サマーカットに向いているといえます。
一方、グルーミング犬種は、短く切りすぎることでバリカン後脱毛症の原因(※)(毛を短くバリカンでかけた場合、毛が伸びなかったり生えてこなかったりすること)になる恐れがあるため、あまり向いていません。
グルーミング犬種をサマーカットしたい場合は、毛の状態を把握し、バリカンかけても大丈夫かプロに確認した上で刈るようにしましょう。
※バリカン後脱毛症については後述します。
サマーカットに向いている犬種例(トリミング犬種)
代表的な犬種として、以下の犬種などが挙げられます。- プードル
- シュナウザー
- シーズー
- マルチーズ
- テリア
- コッカースパニエル
サマーカットに不向きな犬種例(グルーミング犬種)
代表的な犬種として、以下の犬種などが挙げられます。- チワワ
- ダックスフンド
- 柴犬
- ポメラニアン
- パピヨン
- コーギー
- シェットランドシープドッグ
- ゴールデンレトリバー
グルーミング犬種はサマーカットではなくブラッシングがおすすめ
グルーミング犬種はサマーカットをしなくても、ブラッシングで抜け毛をこまめにとってあげることも、十分暑さ対策になります。
グルーミング犬種にとって大切なケアはカットではなく、毎日のブラッシングです。その上で、カットをお好みでしてみてもいいでしょう。
犬のサマーカットの時期はいつから?
サマーカットを検討するには、暑くなり始める4月〜6月くらいがいいでしょう。特に季節の変わり目は換毛期でもあるため、抜け毛対策にもなります。
反対に寒くなり始める9月〜11月くらいは体を冷やす原因となり、体調を崩す恐れがあるため、いくらお手入れが楽でも冬が近づいてきたら、サマーカットはしないようにしましょう。
犬のサマーカットのメリット
涼しく過ごせる
短くカットすることで風が地肌まで通りやすくなり、比較的涼しく感じることができます。お手入れが楽
全身短くすることで、シャンプーやブラッシングなどのお手入れが楽になります。毛玉ができにくくなる
毛が減ることによって、毛同士の摩擦が減り、毛玉ができにくくなります。犬のサマーカットのデメリット(注意点)
皮膚が日光や紫外線の影響されやすくなる
短くし過ぎると、夏は紫外線で皮膚が刺激されてしまい、炎症を起こす恐れがあります。外気温に影響されやすくなる
太陽光が直接皮膚に当たることで、暑さを感じやすくなり、熱中症にもなりやすくなる恐れがあります。反対に、冷房の影響も大きくなり、体を冷やしすぎてお腹を壊す犬も。夏は通気性のいい洋服を着せてあげることで、体温調節や熱中症対策を万全にしてください。
ノミやダニに刺されやすくなる
犬の被毛には外敵から皮膚を守る役割もあります。その被毛が短くなると、虫に刺されやすくなるため注意が必要です。散歩の際はノミやダニが多く生息する草むらに入らないようにしたり、防虫効果のある洋服を着たり、犬用虫除けスプレーを使ったりなど工夫が必要です。
被毛に影響が出る恐れがある
短く切りすぎることで、被毛が変わる可能性があります。今までふわふわだった毛質が、ゴワゴワと硬い毛質になったり、毛周期に影響が出て、生え揃うのに時間がかかることが考えられます。すべての犬に起こることではありませんが、見た目や触り心地に大きな変化を伴う恐れがある点は理解しておきましょう。
バリカン後脱毛症になる恐れがある
バリカンを入れることにより毛が生えなくなったり、被毛がスカスカになる「バリカン後脱毛症」になる恐れも。「バリカン後脱毛症」は、バリカン後に脱毛を起こす疾患群を総称していいますが、実際のところ、基礎疾患となる別の病気が関連している場合があります。
犬種別サマーカットスタイル(トリミング犬種)
スタンダードプードル
お顔はバリカンで短くプードルカット。体はバリカン仕上げ。足はバリカンもしくはハサミで仕上げているので細々とした感じにさせず、サマーカットのように短くカット。
体も短く足も細めにしてあげると、さっぱりとお手入れも楽になります。
サマーカットの中でも耳も短くすることでよりお手入れも楽チンに!
ミニチュアシュナウザー
白い毛色のシュナウザーは、毛が薄いため、短くカットしすぎると肌の色が出やすいです。そのため、白っぽさを残したい場合は、短くしすぎないように注意しましょう。
シーズー
Photo by mikucocopopiさん Thanks!
お耳をバリカンで短く刈ることでさっぱりとし、顔の丸さが強調されます。
お耳の中の皮膚の状態が悪い子にとっては通気性がよく清潔に保てるのでオススメです。夏など暑い時期は全身バリカンを入れるサマーカットも人気です。
マルチーズ
お顔を丸くして、お耳は短くボブカットに。お耳が短いとパピーのような感じにもなるカットスタイルです。
マルチーズは、毛がシングルコートで皮膚が見えやすくなるため、短くする場合皮膚のピンク色になりやすいので、注意しましょう。
ヨークシャーテリア
体もお顔もお耳の飾り毛も、とにかくスッキリしてもかわいいのがヨークシャーテリア。鼻が短い子は丸く仕上がるのでオススメです。
アメリカンコッカースパニエル
Photo by musshumamaさん Thanks!
体を短くバリカンで刈り、足の飾り毛も短くすっきり!
耳の飾り毛も短くし、表面のコッカーカットのラインのバリカンを入れないようにすると、子犬らしい仕上がりになります。
イングリッシュコッカースパニエル
Photo by ueharakeiko5さん Thanks!
全身バリカンで短くスッキリ。お耳も蒸れやすいので短くバリカンでするのもオススメです!
犬種別サマーカットスタイル(グルーミング犬種)
前述の通り、グルーミング犬種にとって大切なケアはカットではなく、毎日のブラッシングです。グルーミング犬種をサマーカットしたい場合は、サマーカットしても大丈夫かプロに確認した上で、カットをお好みでしてみてもいいでしょう。
チワワ
全身の飾り毛を短くしてスムースチワワのような仕上がりに。夏の暑い時期やお洋服を着せる時におすすめです。
ダックスフンド
Photo by ma7255miさん Thanks!
スムースダックスフンドのようにバリカンで短くカットします。夏暑い時期や抜け毛が気になる時、毛量が多くて毛玉やブラッシングなどのお手入れが大変な場合などオススメです。
ポメラニアン
全身の毛を短くし、スッキリと飾り毛を短くカットします。体にバリカンを入れてカットする場合はトリマーに相談の上、バリカンを入れてください。
※こちらのカットはハサミで短くカットしています
柴犬
k_1v1さん、Thanks!!
元々短い毛ですが、より生活しやすく、抜け毛が気になる場合は全身にバリカンを入れて、短くカットするサマーカットがあります。
オーバーコートがバリカンで刈られ、アンダーコートの色がメインに出てくるため、毛の色が変わって見えることがあり、全体の仕上がりとしては、刈ってる毛と刈っていない毛の色の差が出ます。
パピヨンの特徴といえばやっぱり耳。耳の飾り毛を残してサマーカットにすることもできます。体だけ短くしたいという時にオススメです!
コーギー
okoge.zip、Thanks!!
(右下写真)バリカンしていないコーギー(左)、全身バリカンしたコーギー(右)
元々短い毛ですが、より生活しやすく、抜け毛が気になる場合は全身にバリカンを入れて、短くカットするサマーカットがあります。
オーバーコートがバリカンで刈られ、アンダーコートの色がメインに出てくるため、毛の色が変わって見えることがあり、全体の仕上がりとしては、刈ってる毛と刈っていない毛の色の差が出ます。
シェットランドシープドッグ
mixppi22さん Thanks!!
柴犬カットでもあるシェルティのサマーカット。全身バリカン(丸刈りのように短く)を入れることによってさっぱりとした仕上がりになります。
バリカンでもミリ数によって長めに短くもできます!お顔の飾り毛も体に合わせて丸くしてあげるとかわいい仕上がりになります。
夏の暑い時期や毛量が多くて日々のブラッシングなどお手入れが大変な場合はおすすめです!
ゴールデンレトリバー
毛をバリカンで短く刈ってすっきりと!見た目がラブラドールレトリバーに近くなります。
犬のサマーカットにはメリットデメリットがあります
サマーカットとは、犬の毛をバリカンなどで短くカットするスタイルです
サマーカットには向いている犬種と不向きな犬種がいます
メリットもデメリットもあるため、トリマーさんに相談しましょう
暑い時期に最適そうなサマーカットですが、メリットばかりではありません。
注意点も理解した上で、かかりつけのトリマーさんに相談しましょう。