子犬の食事|正しい量や回数、食べない場合の対処法まで獣医師が解説

子犬の食事|正しい量や回数、食べない場合の対処法まで獣医師が解説

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子犬の食事は低血糖を避けるため食事回数を1日3回以上にして、子犬用の総合栄養食を与えましょう。手作りはお勧めしません。ドライフードの場合はふやかすと食べやすいです。食べない場合や食事量の注意点などもあわせて、獣医師の佐藤が解説します。

子犬の食事の基本

ダックスの赤ちゃん

子犬は生後3〜4週間で母乳から離乳食や子犬用オールステージ対応のドッグフードへ切り替え、大人になるための栄養をしっかり摂っていく必要があります。しかし、子犬の成長は飼い主さんが思っているよりも早いことが多く、病院で「与える量の不足による痩せすぎ」を指摘する機会は少なくありません。

まずは新生児期から離乳期以降まで、フードの選び方や与え方など子犬の食事の基本を解説します。

新生児期の犬の食事

生後2週間ほどの新生児期は母犬の母乳を与えることで、成長に必要なエネルギーを摂り、免疫力を獲得します。母乳を飲ませることができない場合は犬用のミルクを飲ませます。牛乳はお腹を壊したり、栄養不足になったりしますので代用できません。

生後3週以降になると乳歯が生え始め、ミルク以外のごはんに興味を持つようになります。柔らかく食べやすいウェットフードがお薦めですが、ドライフードならお湯でふやかしてあげると食べやすいでしょう。いずれにしても子犬用、もしくはオールステージ対応の総合栄養食を選んでください。


離乳期以降の犬の食事

離乳期を過ぎたら子犬用かオールステージ対応の総合栄養食を与えます。成長期の子犬は大人よりも多くの栄養を必要とするため、成犬用のごはんを与えることはできません。発育不良の原因となってしまいます。

ドライフードよりウェットフード

犬のごはんは一般的に「カリカリ」と呼ばれるドライフードが選ばれがちですが、超高温加熱で食材本来の栄養や旨味が失われてしまったり、保存性を高めるために酸化防止剤が添加されたりしています。何より、食事から水分を摂れないことは脱水によって引き起こされる病気のリスクを高めます。

そのため食べるだけで水分補給になるウェットタイプのごはんがお薦めです。ただし、ウェットフードには保存料が添加されているものが多くありますので、ウェットの中でも無添加のフレッシュフードを選んでいただくのが理想的です。

よく「ウェットフードは歯周病になりやすい」と言われることもありますが、明確なエビデンスはありません。ドライフードでも歯周病になる犬はたくさんいますので、歯磨きを頑張っていただくほうがよっぽど重要です。歯磨きのやり方は以下の動画で解説していますので、参考にしてください。




フードの与え方

犬は消化に8〜10時間ほどかかるため、成犬の食事は12時間ごとの1日2回が基本です。子犬の場合は低血糖の心配がありますので、1日の最適量を3分割する形で朝、昼、晩と1日3回与えるといいでしょう。成犬になってからも食事量を守れば回数を増やすことは問題ありません。

ごはんの時間は正確に決めないで大丈夫です。逆に決めてしまうと犬の期待値がその時間に合わせて上がりすぎてしまい、空腹で吐いてしまうことがあります。

食事の場所は犬が落ち着けるサークルの中や、気になる音や存在がないところを選んでください。繊細な子は嫌な思い出や気になる存在によって食べなくなってしまう可能性があります。


子犬の食事で注意すべきこと

シェルティのパピー

発育途上の子犬の体は成犬より食事の影響を受けやすく、異変を放置すると命に関わる問題に発展してしまうこともあります。そこで、子犬を迎えた飼い主さんが最低限知っておきたい「注意すべき症状」と「食事量」について解説します。

1. 注意すべき症状

子犬で特に注意したい症状は「低血糖」と「下痢・嘔吐」です。

低血糖

子犬は体に糖分を蓄える機能が十分に備わっていないため、食事から摂取した糖分を使い切って低血糖になることが少なくありません。低血糖になると神経症状が起こり、放置すると死に至る可能性もあります。生後3カ月までの子犬は特に要注意です。詳しくは以下の関連記事も参考にしてください。


下痢・嘔吐

下痢や嘔吐は犬でよく見られる症状ですが、成犬では一時的な不調も子犬では短時間に深刻な問題へ発展してしまう可能性があります。消化器が未発達なためちょっとしたストレスで下痢や嘔吐をすることもありますが、子犬で注意したいのは寄生虫や細菌、ウイルスなどの感染症です。以下の関連記事も参考にしてください。


2. 食事量の不足

子犬もごはんを食べすぎれば肥満になってしまいますが、過剰よりは不足に注意が必要です。成長に合わせて食べる量も増やしていかなければいけませんが、ペットショップやブリーダーさんから最初に教えてもらった食事量のままだったり、十分な量を増やせていなかったりする飼い主さんは珍しくありません。

子犬期の食事量不足は空腹にとどまらず、低血糖や発育不良につながります。生後1〜2カ月くらいまでは毎日体重を量り、その後も少なくとも2週間に1回は量って体重が増えているか、食事量が足りているか確認してください。体重の量り方は以下の動画関連記事を参考にしてください。




よくある子犬の食事のお悩み・相談

PETOKOTO FOODSと柴犬

子犬は心も体も繊細な時期ですので、食事のお悩みを持つ飼い主さんは少なくありません。よく頂く質問や相談について解説します。

食事を食べない・偏食の悩み

犬にとって食事は楽しみで待ちきれない一大イベントです。しかし、それが食べないとなると飼い主さんとしては心配してしまいますし、実際に食べずに低血糖になれば命にも関わってきます。詳しくは関連記事で解説しますが、以下のような理由が考えられます。

病気で食欲が無い 1. 病気
食欲はあるが食べない 2. 食事量が多すぎる
3. 運動量が少ない
4. ごはんが美味しくない
5. 食事に集中できない

どれか該当するものがないか確認してみてください。病気が関わる可能性もありますし、食べない理由が多岐にわたる場合もあります。一人で悩まず、獣医師やドッグトレーナーに相談していただければと思います。




アレルギーが心配

犬も食事でアレルギーを発症します。心配して症状がないうちからアレルギー検査をされる飼い主さんもいらっしゃいますが、検査はたくさんの食材の中から可能性の高いものを絞るために行います。陽性が出た食材を食べたからといって必ず症状が出るわけではありません。

犬のアレルギー症状は多くが顔やお腹、足などの痒み、下痢や嘔吐です。何かしら疑わしい症状が出ていない限り、積極的に検査を受ける必要はありません。陽性が出ただけで食材を避けてしまうと愛犬の食の選択肢を狭め、飼い主さんも余計な負担を増やしてしまいます。

犬の食物アレルギー症状が出やすい部位


手作りごはんを食べさせたい

近年、愛犬のために新鮮な手作りごはんを食べさせてあげたいと思う飼い主さんが増えてきました。しかし、毎日にのごはんを手作りにすることは犬の栄養学をしっかり学んだ方でないと難しく、リスクを伴うため推奨しません。

愛犬のために作ったごはんで体を壊してしまっては本末転倒ですので、基本のごはんは総合栄養食にしてください。おやつであればそれほど栄養の過不足を気にしなくても大丈夫です。1日の最適カロリー量の10%以内にして食べさせてあげるといいでしょう。

もちろん犬が食べても大丈夫な食材か、調理方法に注意点がないかなどは必ず調べるようにしてください。


まとめ

子犬
子犬は低血糖のリスクが高い
こまめに体重を量り食事量の不足に注意
ドライフードよウェットフードがお薦め
手作りごはんは犬の栄養学を学んでから
子犬の食事は健康な体を維持するだけでなく、体そのものを作っていく栄養摂取でもあるため非常に重要です。病気に注意することはもちろん、水分が摂れているか、余計な添加物は入っていないかなど、愛犬のために考えなければいけないことがたくさんあります。困った際は、獣医師やドッグトレーナー、ペット栄養管理士など専門家を頼ってください。


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