犬に必要な栄養を解説 手作りごはんの注意点から三大栄養素の重要性まで

こんにちは、編集長の山本です。愛犬のごはん選びに悩んでいたり、市販のドッグフードに不安があったり、手作りごはんを考えている飼い主さんは多いと思います。しかし、手作りする場合は人と犬で必要な栄養や量・バランスが異なる点に注意が必要です。今回は、犬の栄養について解説します。

なお今回の内容は、ニュージーランド・マッセー大学のニック獣医師の知見をもとに解説していきます。ニック先生は小動物の栄養学博士であると同時に、専門医として臨床現場にも立つ獣医栄養学のスペシャリストです。


愛犬の栄養管理で大切な3つのこと

最初に、愛犬の栄養管理に関して飼い主さんに知ってほしいことを3つ紹介します。

1. 手作りごはんより総合栄養食

犬の手作りごはん

愛犬がなかなかドッグフードを食べてくれず、いろいろなドッグフードを試し続けているという方、市販のドッグフードに不安があり、本当に良いごはんを食べさせたいと思っている方、多いと思います。

そこで選択肢になるのが「手作りごはん」ですが、ペトことでは手作りごはんを毎日の食事にすることは推奨していません。人と犬で必要な栄養は異なり、犬のごはんをつくるためには「犬の栄養」をしっかり学ばなければいけないからです。

手作りフードを食べさせていた愛犬が体調を崩したため病院に行ったところ、原因は手作りフードだったというケースもあります。健康のために始めたことで健康を損ねては、本末転倒ですよね。

寝るシニアの犬

愛犬に毎日食べさせるごはんは、犬に必要な栄養がバランス良く配合された「総合栄養食」を選ぶようにしてください。特別な日のごはんや、ちょっとしたトッピング程度であれば、手作りでも問題ありません。

その場合、1日の最適カロリー量の10%以内になるように注意してください。1日の最適カロリー量はペトことオリジナルのドッグフード「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができます。


2. 新鮮なごはんを食べさせる

PETOKOTO FOODS

総合栄養食のドッグフードなら何を食べさせても良いというわけではありません。ペトことではドライフードよりウェットフード、ウェットフードの中でもフレッシュフードをオススメしています。

多くの飼い主さんは愛犬にドライフードを食べさせていると思いますが、みなさんはなぜドライフードを選んでいるのでしょうか?

ドライフードは食材を高温で加熱し、粒状にするための成分を加え、長期保存できるように酸化防止剤を添加して乾燥させた「加工食品」です。「安い」「保管が楽」「あげるのが簡単」といったメリットはありますが、どれも犬のためではなく人の都合です。

ドライフード

例えば、人の栄養がバランス良く配合された「新鮮なごはん」と「非常食のクッキー」があり、一生どちらかしか食べられないとしたら、みなさんはどちらを選ぶでしょうか? 非常食のクッキーを選ぶ方は、ほとんどいないはずです。

多くの飼い主さんは自分で絶対に選ばない食生活を、なぜか愛犬に選んでいます。家族の一員なのですから、同じように新鮮なごはんを食べさせてあげてください。


3. 最適カロリー量を知る

PETOKOTO FOODSを欲しがるビーグル

どんなに新鮮で栄養がバランス良く摂れるごはんがあったとしても、食べ過ぎれば体を壊してしまいますし、逆も同様です。みなさんは愛犬の最適カロリー量を把握しているでしょうか?

ほとんどの方は、ドッグフードのパッケージに書かれた「体重ごとの与える量」に従ってごはんを食べさせていると思います。しかし、その量が本当に最適とは限りません。

犬にとっての最適カロリー量は、犬種や性別、年齢、体質、日々の運動量によって変わるからです。太っている子が太っている状態の体重をもとにした量を食べていれば、より太ってしまいます。

BCS

1日の最適カロリー量は「PETOKOTO FOODS」の「フード診断」で簡単に計算することができます。まずは愛犬の最適カロリーを正確に知ることから始めましょう。

フード診断を受けてみる


犬のごはんに欠かせない三大栄養素

PETOKOTO FOODSの匂いを嗅ぐ2匹の犬

人と犬で摂るべき栄養素のバランスは異なりますが、同じ生き物として基本となる栄養は変わりません。特に「タンパク質」「脂質」「炭水化物」は生きるために欠かせないもので、「三大栄養素」と呼ばれています。

タンパク質

牛肉

タンパク質は水分を除いた犬の体の50%を占める大切な栄養素で、アミノ酸が連なった立体的な構造をしています。筋肉としてだけでなく、体の中で化学反応を起こしたり、栄養を運んだり、抗体として感染に抵抗するなどさまざまな役割を担っています。

犬はタンパク質を構成するアミノ酸を作るため、体内で合成したり、食べ物からタンパク質を摂取しなければいけません。肉や大豆、卵、チーズなどの食べ物はさまざまなアミノ酸を含み、犬はいろいろな食べ物を食べることで必要なアミノ酸を摂取します。

アミノ酸は体内で合成できる「非必須アミノ酸」と、食事で摂取しなければいけない「必須アミノ酸」にわかれます。犬の場合は、アルギニンやリジン、トリプトファンなどが必須アミノ酸です。

必須アミノ酸 リジン、ヒスチジン、アルギニン、スレオニン、ロイシン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン
非必須アミノ酸 アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、システイン、チロシン、グリシン、プロリン、アラニン

PETOKOTO  FOODS

犬の食事を考える場合、ただ高タンパクな食事をすればいいというわけではなく、消化と吸収も考えなければいけません。卵、チーズ、魚などは非常に消化しやすく、熱が加えられていない肉類は消化しにくい食材です。

大豆や小麦など植物性のタンパク質は生のままだと消化が悪いのですが、豆腐や小麦グルテンでは非常に栄養価が高く消化も良いタンパク質となります。

タンパク質を多く含む食材
肉・卵類 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ豚モモ鶏モモ鶏レバー
魚類 アジ、マグロイワシカツオ、ナマズ
豆類 納豆豆腐豆乳
乳製品 チーズヨーグルトヤギミルク
Dr. Nick's Comment PETOKOTO FOODSは市販のドライフードよりタンパク質の割合が高く、総カロリーの約30%を占めます。犬もタンパク質の多いフードは美味しいと感じます(※)
※参照:Roberts MT, Bermingham EN, Cave NJ, et al. Macronutrient intake of dogs, self-selecting diets varying in composition offered ad libitum. J Anim Physiol Anim Nutr (Berl) 2018;102:568-575.


脂質

2匹の柴犬

犬の脂肪は水分を除くと体の25%を占め、それによって数週間は何も食べずに生きることができます。必要以上のエネルギーを摂取すると脂肪として体内に蓄えられ、やがて肥満になってしまいます。

肥満の犬は健康とは言えず、過剰な脂肪は代謝や免疫機能、関節に悪影響を与え、免疫不全やガン、関節炎などのリスクが上がります。実際、肥満の犬は寿命が短くなるという研究結果も出ています(※)。

逆に不足しても病気のリスクを高めます。特に体内で合成できないオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などの「必須脂肪酸」は、食事から摂取する必要があります。必須脂肪酸が不足すると免疫不全や生殖問題、肝疾患、ガンなどのリスクが上がります。

脂質を多く含む食材
豆類 きな粉納豆豆乳
魚類 サバサンマブリ
肉・卵類 牛肉豚肉鶏ムネ鶏モモ
乳製品 チーズ
種子類 クルミピスタチオゴマ落花生
Dr. Nick's Comment オメガ6脂肪酸の代表例であるリノール酸は植物のみが合成でき、犬の体内では合成できません。リノール酸が不足すると毛にツヤが無くなり、細菌やカビが増えて臭いがするようになります。

PETOKOTO FOODSにはオメガ6脂肪酸はもちろん、動物性と植物性、そしてフィッシュオイルを含めて犬にとって最適な脂肪酸が配合されています。カロリーも適切に調整され、犬の免疫や皮膚を正常に保つことができます。
※参照:「Diet restriction and ageing in the dog: major observations over two decades」(British Journal of Nutrition)

炭水化物

小麦畑にいる犬

犬はもともと炭水化物が必要ない肉食動物でした。しかし、人との共生で雑食動物へと進化し、炭水化物を消化、吸収して利用することができるようになりました(※1)。タンパク質よりも炭水化物を多く含む食事を好む犬もいます(※2)。

犬は肝臓でタンパク質や脂肪を分解してエネルギーを合成していますが、炭水化物を利用することでその負担が軽減されます。また尿素窒素の生成も減るため、腎臓の負担も軽減しました。

炭水化物の一つである食物繊維は犬の小腸では消化することができませんが、腸内を通過することはできます。正常な腸内細菌層を作り出し悪玉菌の発育を抑制することで、下痢や便秘、アレルギー疾患のリスクを軽減します。

炭水化物を多く含む食材
穀類 小麦粉トウモロコシ白米玄米
豆類 ひよこ豆、えんどう豆きな粉大豆納豆
種子類 ピスタチオ落花生クルミ
芋類 ジャガイモサツマイモ
野菜類 カボチャニンジンブロッコリー
果物類 バナナ洋梨パイナップルサクランボマンゴーリンゴ
Dr. Nick's Comment PETOKOTO FOODSでも、いろいろな食材から炭水化物を摂取することができます。お米やサツマイモは消化が良いデンプンとして、ブロッコリーやリンゴ、ニンジンは食物繊維として炭水化物を供給しています。
※参照1:Axelsson E, Ratnakumar A, Arendt ML, et al. The genomic signature of dog domestication reveals adaptation to a starch-rich diet. Nature 2013;495:360-364.
※参照2:Roberts MT, Bermingham EN, Cave NJ, et al. Macronutrient intake of dogs, self-selecting diets varying in composition offered ad libitum. J Anim Physiol Anim Nutr (Berl) 2018;102:568-575.


五大栄養素と六大栄養素

2匹の犬

三大栄養素に加えて「ビタミン」「ミネラル」も生きるために欠かせないもの。それらを加えて「五大栄養素」、さらに「」を加えて「六大栄養素」と呼ばれることもあります。

ビタミン

ビタミンはそれ自体が体を作ったりエネルギーになったりすることはないものの、体を正常に動かしていく上で欠かせない栄養素です。脂溶性と水溶性の2種類わけられ、脂溶性は体内に蓄積しやすいため過剰摂取に注意が必要です。

脂溶性ビタミン

ビタミンAは不足すると目や皮膚の不調につながりますが、犬は過剰摂取による中毒に注意が必要です。ビタミンDは犬が不足しがちなビタミンで、骨の不調につながります。

ビタミンEは抗酸化作用があり、トコフェロールが酸化防止剤としてフードに添加されることもあります。ビタミンKは食材に多く含まれ、不足することはまれです。

脂溶性ビタミンを多く含む食材
ビタミンA 豚レバー鶏レバー、ナマズ、ニンジン海苔
ビタミンD 、ナマズ、えのき
ビタミンE ナマズ、サツマイモブロッコリーリンゴ
ビタミンK 鶏ムネ鶏モモブロッコリーニンジン海苔

水溶性ビタミン

PETOKOTO FOODSを欲しがるポメチワ

犬はビタミンCを体内で合成できるため、必須ビタミンではありません。ビタミンB1は熱に弱く、加熱加工されるドライフードでは、しばしばチアミン塩酸やチアミン硝酸が添加されます。

ビタミンB2やナイアシンは、エネルギーを作る際に欠かせないビタミンです。犬はナイアシンが不足すると舌が壊死する黒舌病(犬ペラグラ症)を引き起こします。

水溶性ビタミンを多く含む食材
ビタミンB1 豚ロース豚モモ鶏レバー、ナマズ、えのき
ビタミンB2 牛ヒレ豚モモ豚レバー鶏ムネ鶏モモ鶏レバー
ビタミンB6 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ鶏モモ鶏レバー、ナマズ、サツマイモブロッコリーリンゴしいたけ
ビタミンB12 牛ヒレ豚モモ豚レバー鶏ムネ鶏モモ鶏レバー、ナマズ、海苔
葉酸 豚レバー鶏レバーサツマイモブロッコリー、米麹、海苔
ビオチン 鶏レバーえのき
ナイアシン 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ鶏モモ鶏レバー、ナマズ、えのきしいたけ、米麹
パントテン酸 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ鶏モモ鶏レバー、ナマズ、サツマイモブロッコリーえのき
コリン 豚レバー大豆納豆

ミネラル

PETOKOTO FOODSを食べるボストンテリア

ミネラルは犬の骨や歯を作り、体内のさまざまなサポートする重要な栄養素です。カルシウムや鉄、ヨウ素、亜鉛は体内で合成できず、ミネラルの中でも特に不足しがちな「必須ミネラル」です。

カルシウムが欠乏すると骨だけでなく神経や脳にも異常が見られますが、犬では過剰摂取による骨格異常に注意が必要です。マグネシウムが不足すると発育障害につながり、亜鉛不足では毛質の低下が見られます。

ナトリウムの過剰摂取は人の場合に血圧上昇が起きますが、犬の場合は心臓病のリスクを高めます。ヨウ素は不足すると甲状腺機能の低下につながりますが、日本では風土的に不足しづらく、国産食材を使ったフードで不足のリスクは低くなります。

ミネラルを多く含む食材
カルシウム(Ca) イワシ豆腐納豆チーズヨーグルトゴマキャベツ海苔
リン(P) 牛ヒレ豚ロース鶏ムネ鶏モモ鶏レバー、ナマズ
マグネシウム(Mg) 鶏ムネ
カリウム(K) 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ、ナマズ、サツマイモニンジンリンゴしいたけ海苔
ナトリウム(Na) 煮干しチーズ
塩素(Cl) 海藻類
硫黄(S) 牛肉、羊肉、小麦粉大根
鉄(Fe) 牛ヒレ鶏レバー海苔
亜鉛(Zn) 牛ヒレ豚ロース豚モモ鶏ムネ鶏モモ鶏レバーしいたけ
銅(Cu) 牛ヒレ鶏レバーサツマイモリンゴ、米麹
モリブデン(Mo) 豚レバー鶏ムネ鶏レバーサツマイモリンゴ、米麹
セレン(Se) 豚ロース豚レバー鶏ムネ鶏モモ鶏レバー
ヨウ素(I) 海藻類
マンガン(Mn) サツマイモ、米麹
コバルト(Co) 牛レバー海苔


水を飲む犬

動物の体の約60〜70%は水分で占められ、20%失うだけで死んでしまいます。体の外から摂らなければいけないという意味で、水は非常に重要な栄養素と言えます。

犬は水分を飲み水だけでなく食べ物から摂っています。体内の水分量が減ると脱水症や熱中症だけでなく、泌尿器の病気にもつながります。水を飲むのが苦手だったり寝ていることが多くなったりするシニア犬(老犬)は、水分量の多いウェットフードがオススメです。


まとめ

PETOKOTO FOODSとチワワ
手作りごはんより総合栄養食
ドライフードより新鮮なごはん
愛犬の最適カロリーを正確に知る
犬の栄養はまだまだわかっていないことが多く、良かれと思って始めた手作りごはんが愛犬の健康を損ねてしまう可能性があります。毎日の食事は栄養バランスがしっかり計算された総合栄養食を与えるようにしてください。

フードの種類はドライやウェットなどありますが、より新鮮なものを食べたほうが長生きできるという研究もあります。飼い主さんの利便性も大事ではありますが、愛犬の健康を第一に考えたごはん選びをするようにしてください。