【トレーナー・獣医師監修】ミニチュアピンシャーってどんな犬?性格・特徴・育て方・迎え方
「ミニピン」の愛称で親しまれているミニチュアピンシャーは、小型のドーベルマンという見た目をしていますが、実はミニチュアピンシャーのほうが歴史が長い犬です。小さな体ながら勇敢で元気溢れる性格をしており、思いっきりはしゃぐ姿は多くの犬好きからの人気を集めています。そんなミニピンの性格や体重、毛色の特徴、しつけ方、寿命などを紹介します。
この記事を監修している専門家
佐藤貴紀獣医師
獣医循環器学会認定医・PETOKOTO取締役獣医師獣医師(目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC、隅田川動物病院、VETICAL動物病院)。獣医循環器学会認定医。株式会社PETOKOTO取締役CVO(Chief veterinary officer)兼 獣医師。麻布大学獣医学部卒業後、2007年dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長に就任。2008年FORPETS 代表取締役 兼 白金高輪動物病院院長に就任。2010年獣医循環器学会認定医取得。2011年中央アニマルクリニックを附属病院として設立し、総院長に就任。2017年JVCCに参画し、取締役に就任。子会社JVCC動物病院グループ株式会社代表取締役を兼任。2019年WOLVES Hand 取締役 兼 目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC院長に就任。「一生のかかりつけの医師」を推奨するとともに、専門分野治療、予防医療に力をいれている。
ミニチュアピンシャーの基礎知識
英語表記 | Miniature Pinscher |
---|---|
原産国 | ドイツ |
サイズ | 小型 |
体高 | 25.5~32cm |
体重 | 約4~5kg |
寿命 | 約13年 |
ミニチュアピンシャーの歴史
ミニチュアピンシャーはドイツ原産の小型犬です。
外見が似ていることからドーベルマンを小型化した犬と思われがちですが、実はミニチュアピンシャーのほうが歴史が長い犬です。
ミニチュアピンシャーは20世紀の初め頃からすでに多く飼育されていました。もとはスカンジナビア諸国で飼われていた犬種が祖先で、ドイツで小型化されたといわれています。
本格的に改良が加えられるようになったのは、1895年にドイツでピンシャークラブが設定されてからで「テリア」と「ダックスフンド」「イタリアングレーハウンド」をかけ合わせたという説もあります。
ネズミ捕りが上手く、よく吠えるので番犬としても用いられていました。
ミニチュアピンシャーの性格や特徴
ミニチュアピンシャーは明るく活発な性格で、「ハックニー歩様」という歩き方が特徴です。
また、体の大きさからは想像できない勇敢さもあります。
人や音に警戒して吠えやすく、少し落ち着きがない子が多い傾向にもあります。繊細で神経質なところもある犬種です。
「ハックニー歩様」とは
「ハックニー歩様」は、脚を高く上げゆっくり歩く歩き方です。
断耳と断尾
ミニチュアピンシャーは立った耳と、短い尻尾が特徴です。しかし、実は尻尾は生まれてすぐの切除、耳は生後9週~12週ぐらいの時に、全身麻酔により耳殻部分を切る手術が施されます。「断耳」や「断尾」は、猟犬や牧羊犬といった人と一緒に働いていた歴史のある犬や、闘犬の歴史のある犬に多くその姿が「スタンダード」として決められました。
そのため現在でも、断耳・断尾をすることがスタンダードとされているのです。
しかし、猟や闘犬の必要のなくなった現在では必要のないことです。そのためドイツやイギリスなどアニマル・ウェルフェアの観点から断尾や断耳を法律で禁止している国もあります。
極小ミニピンがいる?
本来の大きさよりも小さいミニチュアピンシャーがいるようです。「豆柴」や「ティーカッププードル」のように「人気があり意図的につくられている」というわけではないようですが、普通よりも小さく生まれた子を極小ミニピンと呼ぶそうです。
ミニピンは寒がり?
行動的な性格ではありますが、体質的に寒さに弱い犬種です。そのため冬季には防寒のため洋服を着せてあげたり、犬用のベッドに毛布を追加してあげたりする必要があります。
ミニチュアピンシャーの毛色
ミニチュアピンシャーの毛色は主に「レッド」「ブラックタン」「チョコレートタン」があります。レッド
Photo by shizuko_desさん Thanks!
ミニチュアピンシャーのレッドは「ミニピンレッド」の愛称で呼ばれています。
飼い主さんのコメント
性格は警戒心が強いけど飼い主への忠誠心はピカイチ!
吠えやすいため、しつけに苦労することもありますが飼い主を守ろうとしてるんだと思うと本気で怒れません(笑)(shizuko_desさん)
チョコレートタン
Photo by frandecoさん Thanks!
ミニチュアピンシャーのチョコレートタンは「ミニピンチョコタン」の愛称で呼ばれています。
飼い主さんのコメント
ミニピンは小型犬とは思えない運動量と身体能力を持ち、お散歩やドッグランが大好きな活発なわんこです。とても賢いので、オモチャやおやつなどのご褒美を上手に使えばすぐに芸を覚えます!
賢い分、「このひとは自分より下だ」とわんこに思われてしまうと言うことを聞いてくれません(笑)
そのため信頼関係をしっかり築くことが必要だと思います。ご主人と認められるとほかの人には見せない仕草や表情をたくさん見せてくれるので、メロメロになること間違いなしです♪(frandeco)
ミニチュアピンシャーの育て方
ミニチュアピンシャーは小柄ですが意思は強く吠えやすい犬種のため、しつけは大切です。
体力もあり運動能力も高いので1日30分以上の散歩は欠かさずに行ってあげましょう。運動不足からのストレスは問題行動につながってしまうこともあります。
体質的に寒さに弱い傾向にもあるので、犬種の特徴を理解して迎えてあげましょう。
ミニチュアピンシャーのしつけ方
ミニチュアピンシャーは吠えやすい犬種のため子犬の頃から「吠え癖」や「噛み癖」はしっかりとしつける必要があります。「構ってほしくて鳴く」「ごはんが欲しくて吠える」といった「要求吠え」をしている時に飼い主さんが反応してしまうと、「鳴いたら構ってもらえる!」「吠えたらごはんがもらえる!」と学習します。
そうなると何か要求がある時に吠えるようになってしまいます。吠えが落ち着くまで待ってから遊んであげたり、静かにしている時にごはんやおやつを与えたりするようにしましょう。
ミニチュアピンシャーのケア・カット
毛の短く、抜け毛の多いミニチュアピンシャーにはゴム製のラバーブラシや、獣毛のブラシを使ってブラッシングしてあげましょう。毛並みを整えるというよりは、血行を良くしたり、埃を落としたりすることにつながります。
定期的なトリミングが必要な犬種ではありませんが、体臭を抑えるために時々シャンプーはしてあげると良いでしょう。
また「爪切り」や「肛門線絞り」は月に一度は行うようにしましょう。
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ミニチュアピンシャーの体型・体重管理
健康な毎日を過ごすためには、適切な体型・体重を保つことが欠かせません。定期的に体重を量ることは重要ですが、適正体重は成長とともに変化します。同時に「ボディ・コンディション・スコア」(BCS)という評価指標を利用することで適正な体型・体重を維持することができます。参照:『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(環境省)
PETOKOTOのYouTubeチャンネルでは獣医師の佐藤先生が体重の測り方やボディコンディションスコアの確認方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ミニチュアピンシャーのドッグフード
犬の食べ物は「エサ」と呼ばれていた時代から、家族の「ごはん」と呼ぶ時代へ変わりました。私たちと同じように、犬も栄養バランスの良いごはんを食べることで健康を維持することができます。ごはん選びをする際は、以下の2点を気を付けていただくといいでしょう。
1. 総合栄養食を適量与える
犬が必要とする栄養は人間と同じではありません。そこで生まれたのが「総合栄養食」と呼ばれるごはんです。おやつなど「一般食」や「副食」と呼ばれるごはんだけ食べていると体を壊してしまいますので、「総合栄養食」のごはんを選ぶようにしましょう。総合栄養食を食べていても与える量が少なければ痩せてしまいますし、多ければ太ってしまいます。パッケージに書かれた食事量は目安ですので、ボディ・コンディション・スコアで「3」の「理想体型」を維持できる量を与えるようにしてください。
2. 添加物の少ない新鮮なごはんを選ぶ
犬のごはんと聞いて「カリカリ」と呼ばれる茶色い豆粒を想像される方も多いと思いますが、正しくは「ドライフード」と呼ばれる加工食品です。保存しやすく食いつきも良いことから犬のごはんとして一般的になりましたが、高温加熱によって食材本来の栄養が失われ、添加物も多く含まれることから見直しが進んでいます。新鮮な野菜を犬や猫に与え続けることで、様々ながんに罹るリスクを軽減することが研究で判明していたり、市販のドライフードを製造する工程の1つである高温加熱処理が、タンパク質の品質劣化を招き、熱に弱いビタミンを破壊し、さらには発がん性物質を生成してしまうことが、研究により判明しています。そこで生まれたのが素材本来の旨味や香りが楽しめ、余計な添加物も入っていない「フレッシュフード」と呼ばれる新鮮なごはんです。ペトコトフーズもその一つで、子犬からシニア犬(老犬)まで毎日のごはんにすることができます。もちろん総合栄養食で、主食としても、トッピングとしてもご利用いただけます。
実際に従来のドライタイプのドッグフードよりも、水分がより多く含まれた手作り品質のごはんを食べている犬の方が寿命が3年も長くなることが研究により明らかになっています。新鮮で美味しく、健康なごはんを選ぶことが長生きできる秘訣です。
ペトコトフーズの公式HPを見る
ミニチュアピンシャーがかかりやすい病気
ミニチュアピンシャーは「皮膚炎」や光を感知する網膜が正常に働かなくなる遺伝性の病気である「進行性網膜萎縮」、後ろ脚の膝蓋骨が正常な位置から内外に外れてしまう「膝蓋骨脱臼」といった病気になりやすいです。
また、小型犬やテリア種によくみられる血行障害が原因の股関節の病気にも注意が必要です。
ミニチュアピンシャーの迎え方
一度家族に迎えたら、子犬から老犬になっても大切に、命に責任を持ちましょう。
白髪も生えれば、病気にもかかるかもしれません。お金がかかるのは家族に迎える時だけではないことを踏まえ、もう一度考えた上で迎えることを検討してください。
保護犬から迎える
保護され、里親を探している犬は雑種だけでなく、血統書のある犬も多くいます。PETOKOTO代表・大久保の愛犬コルクも、もともと足が内股という理由でペットショップの競り市で捨てられていた元保護犬でした。
ペトコトの姉妹サイトである保護犬・保護猫マッチングサイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。
OMUSUBIで保護犬猫を探す
ブリーダーから迎える
ミニチュアピンシャーは毛色の規定がなくさまざまです。好きな毛色や、血統など気にするのであれば信頼できるブリーダーから迎えるという方法もあります。実際に見学に行き、どんな環境で飼育されているのかを確認することも必要ですが、飼う上でのアドバイスも直接聞くことができます。
ペットショップから迎える
ペットショップでは生後2~3カ月ごろの販売が多く、4カ月を過ぎてくると値段がだんだんと下がってくることがほとんどです。ミニチュアピンシャーの一般的な価格の相場は20~30万円ほどですが、どこから迎えるか、血統や毛色によっても値段が変わってきます。
まとめ
ミニピンはドーベルマンよりも古い歴史を持つ犬です
性格は明るく活発、勇敢。繊細で神経質なところもあります
「ハックニー歩様」と呼ばれる脚を高く上げゆっくり歩く歩き方が特徴です
体重が約4~5kg、寿命は13歳前後です
皮膚炎、進行性網膜萎縮、膝蓋骨脱臼(パテラ)に注意しましょう
とても賢い犬ですが、繊細でもあるので、しっかりと信頼関係を築くことが大切です。
参考文献