柴犬の老犬は何歳から?寿命や認知症の症状、食事について解説
医療技術の進歩や飼育環境の変化により犬の寿命が延び、シニア期を過ごす時間も増えました。特に柴犬は、日本での飼育数も多いですから、老犬の数も自ずと増えます。今回は、そんな柴犬の老後について解説します。食事の与え方、認知症、夜鳴きなどについても触れていきます。
柴犬の寿命
柴犬の平均寿命は12年〜15年程度と、一般的な中型犬と同じくらいか、わずかに長くなっています。
わずかに長い理由の一つとしては、日本原産の犬種なので、身体の構造が日本の気候などに適しているということが考えられます。
シニア犬(老犬)とされる柴犬の年齢
中型犬が「シニア犬」と呼ばれるのは、だいたい9〜11歳頃からです。身近なところでは、フードの「シニア犬用」といった表記が気になる時期でもあります。また、ペット保険はこの年齢を境に入ることができなくなることが多いので、加入を考えている人は早めにプランを確認しておきましょう。シニアでも加入することのできる数少ない保険では、シニア犬向けのプランを案内してくれます。
ただし老衰の速さは、体格や犬によっても大きく異なります。さらに、寿命は同じでも健康寿命が長かったり短かったりします。獣医師によっては、5~6歳頃から毎年定期検診を受けることを勧めている人もいるので、健康な犬でも爪切りや肛門絞りなどと合わせて検診してもらいましょう。
柴犬がシニアになると見られる変化
人間と同様に、老化によって体調に変化が表れます。症状として突然表れることもあれば、少しずつ変化していくものもあるので、日常的に観察しておきましょう。
免疫力の低下
ウィルス性や細菌性のさまざまな疾患を引き起こしやすくなります。口やおしりなども含めて、身体を清潔に保ってあげましょう。筋力の低下
後ろ足などに顕著に見られます。散歩へ行きたがらなくなったり、運動量の減少につながったりします。毎日少しずつでも散歩をしていたほうが、筋力の低下スピードを緩やかにすることができます。ですので、運動不足による疾患の発症を防ぐためにも、適度に身体を動かしてあげましょう。正しい知識でおこなえば、マッサージなども効果的です。太る
柴犬は、年齢を重ねると比較的太りやすい体質になります。運動量も減ってくるので、体型コントロールが難しくなってきます。ご飯の内容を変えたり、少しずつでも体を動かしてあげたりすることで、対策を施すことができます。口臭
消化機能の低下が、口臭を引き起こすようになります。そのほかにも、柔らかいご飯を食べるようになることで、口の中に食べかすが残りやすくなるといったことも理由の一つに考えられます。犬に虫歯ができることは珍しいですが、歯肉炎や歯周病などにはかかります。口内の治療には麻酔が必要になることも多く、シニア犬が治療するには危険が伴うので、シニアになる前に治療しておきましょう。目が濁る
白内障を筆頭に、目が白く濁る原因となる疾患がいくつかあります。加齢とともに発症する可能性が高まります。視力が低下している場合は、段差や突起物などで怪我をしないための防止策が必要になってきます。耳が遠くなる
ご飯を用意する音に反応しなくなったり、外の音に対して吠えなくなったり、ささやかなところで耳が遠くなったことを感じるタイミングが増えます。認知症
認知症によって表れる症状は本当にたくさんありますが、たとえば徘徊や夜鳴き、ご飯を食べたばかりなのに要求するなどの症状が見られるようになります。加齢によって表れやすい難聴も、認知症の症状であることがあります。これらの変化が立て続けに起こることで、複合的に表れる行動や疾患も少なくありません。性格・気質などにも影響があることがあります。
シニアの柴犬の食事管理
シニアの柴犬は太りやすいので、カロリーをカットしたダイエットが必要になることも。
一方で、嗅覚が衰えると香りの強いものしか食べなくなることもあるので、そこのバランスが難しいと感じる飼い主さんも多いです。
食べているものは毛艶にも直接影響するので、高い栄養価を維持しながらの体型管理となると、ハードルも上がります。
柴犬の体型・体重管理
健康な毎日を過ごすためには、適切な体型・体重を保つことが欠かせません。定期的に体重を量ることは重要ですが、適正体重は成長とともに変化します。同時に「ボディ・コンディション・スコア」(BCS)という評価指標を利用することで適正な体型・体重を維持することができます。参照:『飼い主のためのペットフード・ガイドライン』(環境省)
YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは獣医師の佐藤先生が体重の測り方やボディコンディションスコアの確認方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
よく食べる子の場合
食欲がある犬には、ささみや豆腐など、高タンパク低カロリーな食事を与えるのがおすすめです。ただし、噛む力が弱くなっていたり嚥下機能が低下していたりするので、飲み込みやすい柔らかさにしてあげましょう。
食欲はあるのにうまく器から食べられない様子であれば、スプーンを使って口に持っていってあげてください。
ごはんを食べない場合の対処法
柴犬がごはんを食べない場合、原因として「1. 病気」「2. 老化」「3. 食事量が多すぎる」「4. 運動量が少ない」「5. わがまま(偏食)」「6. ごはんが美味しくない」「7. 食事に集中できない」という7つが考えられます。対処法について、以下の関連記事を参考にしてください。シニアの柴犬におすすめな食事
食べるのを忘れてしまうことがあるほど娯楽がたくさんある私たちと違って、犬にとっての食事は1回1回が楽しみな一大イベント。年を取っても美味しいごはんを楽しく食べてもらいたいですよね。シニア期にどんなごはんを食べるかで一緒にいられる時間も大きく変わってきます。
長生きの秘訣は「手作り食」?
ベルギーのジェラルド・リッパー獣医師ら研究チームが「長生きする犬とそうでない犬の違い」について調査したところ、食事が関係していることが明らかになりました。市販フードを食べている犬より、手作りごはんを食べている犬のほうが3年近く長生きしていたのです(※)。研究チームは、手作りのほうが食材が新鮮で栄養の吸収率が高いこと、市販フードは高温加熱や成型の際に栄養が失われる・余計な添加物が入っていることが原因ではないかと考察しています。
ただし、PETOKOTOでは毎日の食事を手作りにすることはオススメしていません。犬の栄養は人と違いますので、しっかり勉強して知識がある人でないと、逆に不健康な食事を食べさせることになってしまうからです。
最近では新鮮な食材を使って余計な添加物が入っていない手作りフードも販売されるようになりました。「ペトコトフーズ」もその一つで、解凍するだけで手作りと同じ新鮮なごはんを食べさせてあげることができます。
ペトコトフーズの公式HPを見る
シニア犬(老犬)にオススメの栄養
手作りごはんに挑戦したり、フレッシュタイプのごはんを選ぶ際は以下の成分や食材が含まれているかを確認するといいでしょう。動物性タンパク質
肉食寄りの犬にとって動物性タンパク質は重要な栄養です。牛肉や豚肉、鶏肉、魚肉などの肉や、卵など、アレルギーに気をつけて多く含まれるドッグフードを選ぶようにしましょう。オメガ3脂肪酸
魚油(フィッシュオイル)に多く含まれることでも知られるオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)には、抗炎症作用のほか心疾患やがんの予防効果があるとされています。認知機能の改善にも期待ができ、シニア期は特にオススメの栄養です。※参照:「オメガ3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)」(犬と猫の栄養成分辞典)
抗酸化食品
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は活性酸素に変化し、老化やがんの原因になります。年を取ると体内の抗酸化酵素が少なくなるため、ブロッコリーやニンジン、リンゴ、サツマイモなどの抗酸化作用の高い食材を食べることが重要です。食物繊維
ダイエットの際にもオススメの食物繊維は、腸内環境を良くしてくれます。近年の研究で腸内環境が全身に与える影響は非常に大きいことがわかってきています。摂り過ぎも良くありませんが適度に摂ることが健康につながります。柴犬がシニアになってからの認知症対策
日本では、柴犬を含む日本犬の認知症の発症が多く、なんと約80%もの割合を占めています。
身体に不調が表れたり、しつけた場所で排泄をしなくなったりすることのほかに、家族を認識できなくなる、無駄吠えが増える、噛みつくなど、飼い主としてはショックを受けてしまう症状が出ることも少なくありません。
逆に、一つの症状だけで認知症だと断言できるものではないので、細かい変化を獣医師に伝えて、丁寧に診察してもらってください。
人間と同じですが、認知機能を改善するためのトレーニングとして、脳を使わせることで認知症発症の可能性をさげることができます。詳しい内容については、以下の記事を参考にしてみてください。
シニアの柴犬の介護施設
シニア犬をやむを得ない事情で預けなければいけないとき、飼い主さんにとってペットホテルでは不安に感じることもあると思います。そんなときは、かかりつけの病院や、介護施設が整った老犬ホームがおすすめです。
老犬ホームはリハビリ施設のような特化した環境が整っていることが特徴ですが、何かあったときのために動物病院と提携しているなど、健康面での安心感が違います。
普段からペットホテルの利用がなく、信頼のおけるホテルがない場合は、こういった介護施設を探しておくといざというときに便利です。
まとめ
シニアの柴犬には、老犬だからこそ漂うオーラや可愛らしさがあります。問題行動などについても書きましたが、実際には一日のほとんどを寝て過ごしてるというシニア犬も多いです。
介護生活は決して楽なことばかりではありませんが、愛犬の寝顔を見ていたら疲れも吹き飛ぶと言う飼い主さんは数しれません。
最近はSNSで、世の中のシニア犬たちの暮らしを伺えるハッシュタグなども流行っています。見ていて癒やされるだけでなく、1人では思いつかなかったご飯をあげる際のアイディアや、暮らしの工夫などを見つけられることもあります。特に柴犬はたくさんのアカウントが出てくるので、ぜひ覗いてみてください。