ハウンド犬種ってどんな犬たち?歴史や役割、性格などを紹介

ハウンド犬種ってどんな犬たち?歴史や役割、性格などを紹介

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猟犬の中でも「ハウンド」と分類される犬たちがいます。「ハウンド」とは猟犬という意味で、多くの犬種がハウンドに分類されています。また、ハウンドの中でも「セントハウンド」「サイトハウンド」に分類できます。それぞれの特性や代表種、歴史などを紹介します。

ハウンド犬とは

サルーキ

ハウンド犬とは、ウサギやキツネのような小動物からシカのような大型動物まで、幅広い範囲の狩猟を行ってきた「獣猟犬」に分類される犬たちです。

獣猟犬の中には「テリア」も含まれますが、テリアは主にネズミや、モグラなど主に小型害獣の駆除を目的に活躍していました。

また猟犬には、獣猟犬の他に鳥を対象とした「鳥猟犬」に分類される犬種もいます。


ハウンド犬の歴史

「ハウンド」という言葉は「猟犬」を意味しており、人間が狩りをするようになった時代からハウンドの原型になる犬たちは存在していました。

人と犬とのつながりは1万年以上前にさかのぼります。

人がまだ群れごとに放浪する遊動生活を送っていた時代に、オオカミの一部が人の群れに付いて回り、人間の食べ残しをもらうことを覚えたのが始まりだと考えられています。

人間側からしても、オオカミが付いてくることで番犬の役割を担ってくれるというメリットがあり、次第に生活を共にするようになりました。

やがて人が定住するようになるとオオカミは家畜化され、人為的に交配が行われるようになります。これが犬の始まりといわれています。

時代を重ね犬たちはさまざまな役割を担ってきましたが、ハウンドはその中でも最初の使役犬だといえます。


ハウンド犬の性格

獣猟犬であるハウンド犬は、獰猛な獲物を追っていた歴史を持つことから、勇敢な性格の持ち主です。

シカやイノシシなどに反撃される危険もありますが、それでも怯まずハンターが来るまで足止めや、時には獲物に噛み付くこともありました。

狩猟の中で、さまざまな場面に応じて自分で判断することが求められ、意思が強く、独立心も持っており、しつけやトレーニングが難しい場合があるようです。


ハウンド犬の種類

ハウンドには狩猟において、嗅覚を駆使する「セントハウンド(嗅覚ハウンド)」と「視覚に頼るサイトハウンド(視覚ハウンド)」がいます。

一般財団法人ジャパンケネルクラブの定める犬種グループでも6Gがセントハウンド、10Gがサイトハウンドであり、同じハウンドでも見た目や役割が全然違います。

セントハウンドに分類される犬種

獲物の臭いを追跡し、居場所を特定したり、ときには巣穴に入り込んで追い立てたりするセントハウンド。

たれ耳の犬種が多いのは、巣穴などに入る際に耳の中に土が入らないように、また嗅覚が最大の強みであるため、鼻先に集中させるためともいわれています。

ビーグル

大きいビーグル

セントハウンドの中では最も小柄な犬種であるビーグル。15世紀ごろにイギリスで、スポーツとしてのウサギ狩りを得意としていました。

獲物を追い詰めると吠えてハンターに居場所を伝えるという役割を持っていたため、興奮すると吠えやすいという一面もあります。

基本的に愛嬌があり、社交的で家庭犬としても人気が高い犬種のひとつです。

バセットハウンド

バセットハウンドは大きな頭と短足、とても長い耳が特徴的です。

これもセントハウンドとして、地面に鼻をより近づけ、よりニオイを追跡しやすくするために改良された体型です。

どこまでもニオイを追跡していく狩猟スタイルだったため、頑固で執念深いですが、性格はとてものんびりしていて、家族にとても愛情深く接してくれます。

だるんとした困り顔にファンも多いでしょう。

ダルメシアン

ダルメシアン
Photo by coco_dalmatianさん Thanks!

ダルメシアンのルーツははっきりとしていません。彼らはジプシーや旅商人とともにヨーロッパのいたるところを巡っており、存在の記録が多く残っているため、出自の確証が得られないそうです。

ダルメシアンは狩猟だけでなく、馬車の馬と並走して走る伴走犬の仕事をすることも多かったそうです。

生まれたときにはまだ特徴的な柄はなく、真っ白で、生後数週間後から模様が出てきます。

ブラッドハウンド

あまり聞きなれない犬種のブラッドハウンド。とてもガッシリした大型犬で、セントハウンドの中でも特に優れた嗅覚を持っています。

日本ではあまり見かけませんが、海外では現役の警察犬として活躍するブラッドハウンドもいるのだそうです。

アゴ周りにブヨブヨした硬い皮膚が皴を作っており、狩猟の際に獲物に噛まれても体をよじって逃げられるために分厚い皮膚が発達したといわれています。

このことからも分かるように、襲われてもやり返さず、攻撃性の低い性格です。

フォックスハウンド

フォックスハウンドはその名の通りキツネ狩り専門の猟犬です。狩場ではキツネの臭いを追跡し、見つけると群れの仲間とともに仕留めていました。

対象がすばしっこいキツネであったため、ブラッドハウンドに足の速いグレーハウンドを掛け合わせるなどしてできた犬種であるといわれています。

ポルスレーヌ

19世紀ごろまでフランスで高い人気を誇っていたポルスレーヌ。

一時は絶滅の危機に瀕しましたが、現在は数は少ないながらも多くの国で家庭犬として愛されています。

バセットハウンドのようなとても長い耳が愛らしく、すらっとした気品のある大型犬です。

サイトハウンドに分類される犬種

サイトハウンドは目で獲物を追い、凄まじい俊足で捕獲するという方法で狩猟を行っていました。

そのため、一般的な犬の視野が200~250度なのに対し、サイトハウンドの視野は270度ともいわれています。

そして「ダブルサスペンションギャロップ」という、前後の足を体の中心に持ってきたときと、伸ばしきったときに体が浮いた状態になる走法ができます。

チーターと同じ走り方でもあり、全犬種の中でサイトハウンドたちが群を抜いて俊足なのも納得です。



イタリアングレーハウンド

まどろむイタグレ

近年日本でも家庭犬としてよく見かけるようになったイタリアングレーハウンド。

やんちゃそうな顔ですが、瞬発力重視の犬のため、走る以外の時間は基本的におとなしく寝て過ごす子が多いようです。

とても細い手足なので、少しの段差で骨折してしまうこともあるため注意が必要です。


イングリッシュグレーハウンド

グレーハウンド
Photo by spinnersgreyhoundさん Thanks!

通常「グレーハウンド」と呼ばれている犬は、このイングリッシュグレーハウンドになります。

大型犬で、全犬種の中でも最速の時速70kmで走ることができるといわれています。

ツタンカーメンの墓からもグレーハウンドのような犬が描かれた遺物が発見されており、それがイギリスに渡ってイングリッシュグレーハウンドとして定常化されました。

ウサギやガゼットの猟だけでなく、娯楽(ギャンブル)としてのドッグレースで活躍していましたが、動物愛護の観点からそういったレースは減少しており、現在は家庭犬として生活しています。

ウィペット

ウィペットはイングリッシュグレーハウンドとイタリアングレーハウンドの中間くらいの大きさの中型犬です。

イングリッシュとイタリアンの歴史がかなり古いのに対し、ウィペットは比較的新しく、犬種として完成したのは19世紀です。

足が速すぎて他の犬種とは勝負にならないため、タイムを競うレースではウィペットだけのコースが設置されているものもあります。

アフガンハウンド

アフガンハウンドはその名のとおりアフガニスタンが原産です。大型犬としては珍しく、とても長いサラサラの長毛です。

他のサイトハウンド同様、俊足を生かして狩猟を行っていたため、人間の指示を受ける前に自分の判断で動いていました。そのため指示に従わない傾向があり「頭が悪い」と言われることも。

決して知能が低いわけではなく、判断能力に優れている犬種です。

サルーキ

現存する犬種の中で最も歴史が古いのがサルーキです。

中東では宗教上の観点から犬は不浄の生物とされており、人間と一緒に埋葬されることはあり得なかったのですが、サルーキだけは神の遣いであるとされ、古代エジプトのファラオの墓からもミイラが見つかっています。

ボルゾイ

ボルゾイ
Photo by twisty510さん Thanks!

以前は「ロシアンウルフハウンド」という名で呼ばれており、オオカミ猟に使役していたボルゾイ。

ほっそりとしたモデル体型ですが、体高75~85cmとかなり大きいです。家では家族にそっと寄り添って穏やかに過ごすのが好きで、ハウンドの中で最も友好的といわれています。

しかし猟犬の血が流れているため、外に出ると活発な様子を見せることも。

小動物を見かけると急に狩猟本能のスイッチが入る場合があります。普段から興奮させすぎないよう心掛け、呼び戻しのしつけをしっかりしておくのが望ましいでしょう。


ハウンド犬と暮らす際の注意点

たれ耳の多いセントハウンドでは、こまめに耳掃除をし、食事の際は耳が汚れないようにするなど、耳の病気に注意しましょう。

サイトハウンドの場合は運動量が必要になるので、週末にはドッグランに連れて行ってあげたり、日々のお散歩も長めに歩いてあげたりするのが良いでしょう。


ハウンド犬を迎える方法

一度家族に迎えたら、子犬から老犬になっても大切に、命に責任を持ちましょう。

白髪も生えれば、病気にもかかるかもしれません。お金がかかるのは家族に迎える時だけではないことを踏まえ、もう一度考えた上で迎えることを検討してください。

保護犬から迎える

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保護され、里親を探している犬は雑種だけでなく、血統書のある犬も多くいます。

ペトコトの姉妹サイトである保護犬・保護猫マッチングサイト「OMUSUBI(お結び)」も、ぜひ覗いてみてください。

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ブリーダーから迎える

好きな毛色や、血統など気にするのであれば、信頼できるブリーダーから迎えるという方法もあります。

実際に見学に行き、どんな環境で飼育されているのかを確認することも必要ですが、飼う上でのアドバイスも直接聞くことができます。

ペットショップから迎える

ハウンド種の中にはあまりペットショップで見かけない犬も多いため、希望の犬種がある場合は、事前に確認することをおすすめします。

ハウンド犬と素敵な暮らしを!

ハウンドたちはハンターとの連携を取りつつ、狩猟におけるさまざまな局面で自己判断を行っていたため、独立心の高い犬が多いです。

そのため頑固さを感じることもありますが、家族が大好きという一面もあります。

個々の性格を見極めて接すると、最高のパートナーになってくれそうです。