犬の目の病気|種類や病院へ行くべき症状を獣医師が解説
犬の目の異変は飼い主さんが気づきやすく、しょぼしょぼしていたり目やにが多かったり白かったり、おかしいと感じる機会が少なくありません。年を取ってシニア犬(老犬)になるほど多くなります。その原因は角膜炎やぶどう膜炎など目そのものだけでなく、脳や神経にある場合もあります。犬の目の病気や症状の種類について、獣医師の佐藤が解説します。
目の異変でよく見られる症状と対処法
飼い主さんが愛犬の目を見て「何かおかしい」と感じることが多い症状として、以下の6つが挙げられます。
- 目が赤い・充血
- 目やに、涙目
- 目がしょぼしょぼする
- 目をかく、気にする
- 目や瞳の大きさが左右で異なる
- 目の動きがおかしい、目が揺れる
1. 目が赤い・充血
充血とは「炎症などの病気」、もしくは「興奮などの生理的な反応」により目の血管が拡張することです。流れる血の量が多くなるため、目が赤く見えます。外部からの強い衝撃などにより結膜の下の血管が破れたり(結膜下出血)、眼内腫瘍によって出血したりすることでも目は赤くなりますが、「充血」と「出血」は別物として考える必要があります。結膜充血 | 浅い | 紅 | 結膜炎 | 感染症、シャンプー剤、まつ毛の異常、アレルギー、腫瘍、免疫異常など |
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毛様充血 | 深い | 紫 | ぶどう膜炎 | 感染症、高脂血症、腫瘍、免疫異常など |
角膜炎 | ドライアイ、感染症、シャンプー剤、まつ毛の異常、アレルギー、腫瘍など | |||
緑内障 | 急激な眼圧の上昇(急性緑内障発作) |
目が赤い・充血が見られる場合は、以下の記事も参考にしてください。
2. 目やに、涙目
目やには通常、眼の表面やまぶたの裏側に入ったゴミやホコリなど異物、老廃物を外に出すための生理的な働きとして生じます。飼い主さんが気付きやすい変化ですが、目やにが出ているからといって病気であるとは限りません。しかし、ドロっとしてベタベタするような粘り気のある目やにが出るときは、「結膜炎」や「眼瞼炎」など細菌感染を起こしている可能性があります。
涙が止まらない場合は「流涙症」といって先天的なまつ毛や涙の通り道の問題、アレルギーなどが原因で涙が出過ぎ、もしくは正しく排出できていない可能性が考えられます。
目やにや涙目が見られる場合は、以下の記事も参考にしてください。
3. 目がしょぼしょぼする
犬の目がしょぼしょぼするのはよく見られる変化です。加齢による生理的な変化から、目の病気だけでなく神経の病気、口の病気、腫瘍などさまざまな理由が考えられます。病気が隠れている可能性もありますので、異変を感じたら早めの受診をおすすめします。4. 目をかく、気にする
単純にゴミや毛が一時的に目に入ったことでかいている場合もありますが、まつ毛が当たったりシャンプー剤が目に入ったり、アレルギーでかゆみが出たりしてかき続けていると炎症を起こし、「結膜炎」や「角膜炎」につながります。それが気になってかいてしまうと悪循環となって重症化することもあります。かくのをやめなかったり赤くなるまでかいていたりする場合は、早めに動物病院へ行きましょう。
5. 目や瞳の大きさが左右で異なる
目の大きさが左右で違って見える場合、「緑内障」で眼球が大きくなっている可能性や目の周りの「腫瘍」で眼球が押し出されている可能性、「歯周病」で顔が腫れている可能性などが考えられます。瞳の大きさが違う場合は「ホルネル症候群」が疑われます。目の問題ではなく神経の問題で、原因として「腫瘍」や「中耳炎」などが考えられます。多くは自然治癒しますが、中には命に関わる病気が原因になっている可能性もあります。放置せず動物病院で検査するようにしてください。
6. 目の動きがおかしい、目が揺れる
眼球が痙攣したように動く状態のことを「眼振」(がんしん)と呼びます。病的な眼振は、「前庭疾患」によって起こる神経症状の一つです。耳が原因の場合は「中耳炎」か「内耳炎」、脳が原因で起こる場合は「脳卒中(脳出血や脳梗塞など)」や「脳炎(髄膜脳炎)」「脳腫瘍」などが考えられます。まとめ
目は飼い主さんが異常を見つけやすい
原因が脳や神経にある場合も
早期発見・早期治療が大切