
猫が食べてはいけないもの|野菜、果物、魚、植物を栄養管理士が解説
猫が食べさせてはいけないものを野菜、果物、魚、植物ごとにまとめて紹介します。私たちが食べられるからといって、猫にあげていい食べ物とは限りません。絶対に与えてはいけない死に至る可能性のあるものから、生で与えてはいけないなど与え方に注意が必要なものまで、猫が食べると危険な食材などをペット栄養管理士が解説します。
猫が食べてはいけないもの | |
---|---|
野菜 | じゃがいもの芽、玉ねぎ、長ネギ、にら、にんにく、生のほうれん草 |
果物 | アボカド、ぶどう(レーズン) | 魚介類 | 生のアサリ、生のイカ | その他 | アルコールを含む飲み物、カフェインを含む飲み物(紅茶、コーヒー、緑茶)、野生のきのこ、生の大豆、チョコレート、ナッツ類、生米 | 植物 | アジサイ、アロエ、ヒヤシンス、ユリ |
猫が食べてはいけないもの一覧表
猫が食べてはいけない野菜
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
![]() |
![]() |
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
猫が食べてはいけない果物
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
猫が食べてはいけない魚介類
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
猫が食べてはいけないその他の食べ物
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
![]() 詳細を読む |
食べてはいけないもの | 症状 | 致死量 | |
---|---|---|---|
食品 |
チョコレート | 嘔吐・下痢、神経症状 など | 250〜500mg |
ナッツ類 | 不安、筋肉の震え、強直痙攣 など | 2.4g/kg | |
生のほうれん草 | 尿路結石 など | - | |
植物 |
アロエ | 腎炎、下痢 など | - |
ヒヤシンス | 嘔吐・下痢、血便 など | - | |
アジサイ | 嘔吐・下痢、血便、呼吸促迫 など | - | |
ユリ | 腎不全 など | - | |
観葉植物 | 嘔吐・下痢、水疱 など | - |
猫が食べてはいけない食べ物・飲み物
チョコレート

起因物質:アルカロイド(テオブロミン)
猫はカカオに含まれるアルカロイド(テオブロミン)という成分に対する感受性がとても強く、人間と違って成分を排除する機能を持っていません。そのため、多量に摂取すると心臓や中枢神経の障害になり有害です。起こり得る症状
- 下痢
- 嘔吐
- 頻尿
- あえぎ
- 痙攣
- 徐脈
- 頻脈
- 不整脈
- 痙攣
- 昏睡
- パンティング
- 尿失禁
- 死
ぶどう

起因物質:不明
実は、ぶどうのどの成分が中毒につながるのかは現在も研究が進められている途中で、詳しいことは分かっていません。現在分かっていることは、「猫によっては重度の中毒になること」「ぶどうの皮は果肉よりも中毒の原因になること」です。起こり得る症状
- 嘔吐や下痢
- 食欲不振
- 元気がない
- 水をたくさん飲む
- お腹を痛がる
- 乏尿(ぼうにょう:尿の排泄量が減ってしまうこと)
- 急性腎不全など
カフェイン飲料(コーヒー、紅茶など)

起因物質:カフェイン
カフェインは、アデノシンという鎮静作用を持つ化合物に似た構造を持っているため、細胞のアデノシン受容体に取りつき、アデノシンの結合を阻害します。これにより本来アデノシンが担っていた鎮静作用が阻害され、結果的に覚醒が起こるのです。猫がカフェインを摂取すると、直接的に心筋と中枢神経系を刺激します。起こり得る症状
- 頻脈
- 呼吸促迫
- 過度の興奮
- 振戦
- 痙攣
- 不整脈(心室性期外収縮)
- 全身性のうっ血あるいは出血
ネギ類(タマネギ、ニンニクなど)

起因物質:アリルプロピルジスルフィド
タマネギ油中の活性成分であるアリルプロピルジスルフィドは、ニンニク油中の活性成分であるアリシンの類似物です。タマネギは貧血を起こし、ニンニクは皮膚炎や喘息発作を起こすとされています。起こり得る症状
- 粘膜蒼白
- 頻脈
- 呼吸促迫
- 衰弱
- 嘔吐や下痢
- 血尿
- 死など
ナッツ類(クルミ、アーモンド、ピーナッツなど)

起因物質:ペニトレムA
文献は少ないですがペニトレムA(Penitrem A)という成分により、パンティングや痙攣を引き起こすと言われています。食べてはいけないナッツの種類
症例データで良くないとされているナッツの種類を紹介します。- マカダミアナッツ
- クルミ
- アーモンド
- ピーナッツ
多量のマカデミアナッツ摂取により、運動失調あるいは後肢の不全麻痺が生じると言われています。その症状は普通、治療なしで12〜24時間で回復すると言われていますが、その中毒成分はまだ研究されていないとのことです。
その他のナッツ類は症例データがありませんが、ナッツは基本的に脂肪が豊富で、肥満につながったり、膵臓の疾患を伴う可能性があるため、与えない方が良いでしょう。
起こり得る症状
不安、筋肉の震え、強直痙攣、痙攣、死アボカド

起因物質:ペルシン
アボカドにはペルシン(persin)という殺菌作用のある毒素が含まれています。ペルシンは人間には無害ですが猫にとってはかなり有害です。猫の体質によっては、重い中毒症状が見られる場合もあるので、摂取は避けましょう。起こり得る症状
- 嘔吐や下痢・軟便
- 呼吸困難
- けいれんなど
じゃがいもの芽

じゃがいもを与えることは問題ありませんが、じゃがいもの芽には毒性があるので注意しましょう。
起因物質:ソラニン
起こり得る症状
- 散瞳
- 頻脈
- 口内乾燥
- 呼吸困難
- 腸閉塞
- 尿閉および抑うつ
- 麻痺
- てんかん
- 昏睡および死
お酒(ビール・ワインなど)

起因物質:アルコール
猫はアルコールを分解する酵素を保有しておらず、一度摂取したアルコールは無害化されることなく長い間体内を循環し悪影響を及ぼしてしまいます。起こり得る症状
パンティング、急速な体温上昇、痙攣、死野生のキノコ

私達人間が食べるキノコを食べることは問題ないのですが、野生のキノコは危険です。キノコ中毒であるという証明をされている症例は獣医学上の文献においては少ないですが、多くのキノコが有毒であるとされています。野生のキノコを食べてしまった場合は、すべてが致死的中毒の可能性があるため、治療を受けることが推奨されています。
起因物質:ポリペプチド・シクロペプチド
ポリペプチドやシクロペプチドを含むキノコは、細胞の損傷と死を生じ、腎臓、肝臓及び心臓のダメージと死に至ることがあります。また自律神経症状や中枢神経系作用を生じることもあります。起こり得る症状
- 抑うつ
- 運動失調
- 昏睡
- 胃腸の不調
- 腹痛
- 嘔吐や下痢
- 腸の痙攣
- 発熱
- 急性腎不全
- 急性肝不全
- 著しい低血糖
- 急死
生の大豆

起因物質:トリプシン・インヒビター
生の大豆に含まれるトリプシン・インヒビターは猫にとって毒性の高い物質です。そのため、猫には絶対に生の大豆を食べさせてはいけません。トリプシン・インヒビターは熱に弱いので、大豆が柔らかくなるまで加熱すれば、少量なら与えても大丈夫です。起こり得る症状
トリプシン・インヒビターは、膵臓のタンパク質の分解酵素であるトリプシンの働きを阻害するため、消化不良や下痢などの症状が見られます。生のイカ

起因物質:チアミナーゼ
生のイカには、チアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれています。体質的にビタミンB1(チアミン)を多く必要とする猫がこのチアミナーゼを摂取してしまうとビタミンB1が不足し、ビタミンB1欠乏症になってしまう可能性が高いのです。起こり得る症状
ビタミンB1欠乏症の初期症状は、食欲が低下したりよだれが多くなったりします。その後、けいれん発作や運動機能障害につながってしまうこともあります。生のイカを食べてしまった場合は早急な治療が必要になるので、食べた時間や量を把握し、なるべく早めに動物病院に行きましょう。
生のほうれん草

起因物質:シュウ酸
生のほうれん草に含まれるシュウ酸は、シュウ酸カルシウム結石となり、尿路結石症などを引き起こします。シュウ酸は水に溶けやすいので、茹でた後で水にさらすとある程度は取り除くことができます。起こり得る症状
尿路結石など猫が食べてはいけない植物
アロエ

起因物質
アロエが持つ乳液により、腎炎を引き起こすとされています。起こり得る症状
- 腎炎
- 下痢
ヒヤシンス

起因物質:シュウ酸カルシウム
シュウ酸カルシウムが原因で、胃腸障害などを引き起こすとされています。球根が最も毒性があります。起こり得る症状
嘔吐、下痢、血便アジサイ

起因物質:ヒドランジン
ヒドランジンと呼ばれる青酸配糖体を含有していることが分かっており、中毒症状はまれで、シアン化物中毒の症状に類似していることがあります。起こり得る症状
嘔吐、下痢、血便、呼吸促迫、呼吸器障害ユリ

起因物質
猫は特に有毒で、不明なトキシンに敏感であることが、報告されています。激しい腎不全が24〜48時間以内に中毒症状としてあらわれるとされています。しかし、猫や鳥で、これらの植物のトキシンで中毒を起こすかは不明とされています。起こり得る症状
腎不全観葉植物

一般的に売られている観葉植物(ポトス、ヒメカズラなど)にも猫に対して毒性を示すものがあります。
起こり得る症状
- 嘔吐・下痢
- 水疱(すいほう)
- 神経症状
- 死
猫が食べてはいけないものを食べた場合の応急処置
.jpg)
獣医師が的確な判断をすることが重要ですので、飼い主さんが正しい説明をする必要があります。まずは中毒物質の種類の特定と摂取経路を明らかにしてください。その上で、動物病院へ連絡し、その物のパッケージ(あるいは残っていた物質)を持っていくようにしましょう。
また、致死摂取量は体重や状態によって変わるため、少しでも食べた場合は念のため動物病院に電話することを推奨します。