ボストンテリアのしつけは難しい?噛みつきやトイレトレーニングについてトレーナーが解説
モノトーンの柄に、スマートなシルエットが上品で、世界中に多くのファンを持つボストンテリア。今回はボストンテリアの性格を踏まえながら、噛み癖やトイレトレーニング、留守番などのしつけ方法を、ドッグトレーナーの西岡が解説します。
目次
- ボストンテリアをしつける前に知っておくこと
- ボストンテリアにみられる問題行動
- ボストンテリアに必ず教えたいしつけコマンド
- ボストンテリアのしつけに必要なもの
- 子犬のボストンテリアにしておくと良いしつけ
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ボストンテリアをしつける前に知っておくこと
基本は主従関係よりも信頼関係
かつては「しつけ」というと、犬と飼い主の主従関係を築くことが基本であるといわれていました。しかし近年では、犬と飼い主がお互いに心を開き信頼し合うことが大切であると考えられています。信頼関係を築くことができない飼い主の行動の例として、ネガティブな気持ちを犬に押し付けたり、頭ごなしに叱ったり、一貫性のない行動をすることなどが挙げられます。
どんなに正しい方法でしつけをしていても、信頼し合えていない犬と飼い主がトレーニングをすることは難しいでしょう。
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ボストンテリアの性格
ボストンテリアは、甘えん坊で少しわがままな一面がある犬種です。しかし、気質は比較的安定しており温厚で、攻撃的になることはあまりありません。テリア種ではあるものの、愛玩犬のグループに属し、人との暮らしにも馴染みやすい犬種です。
ボストンテリアにみられる問題行動
ボストンテリアは穏やかですが、甘えん坊な性格が引き起こす問題行動が見られることがあります。
甘噛み
遊んでいると興奮して、甘噛みをすることがあります。小さい口ではありますが、エスカレートすればもちろん怪我につながることも。痛みを感じるほど強く噛んできたら、遊びを中断し、一度落ち着かせましょう。成長過程で歯がかゆい子犬には、噛んで遊べるおもちゃを与えてください。
人がけがをするほどの強さで噛んだときは一度遊びを中断して、クールダウンさせましょう。成長過程で歯がかゆい子犬には、噛んで遊べるおもちゃを与えてください。
噛み癖
甘噛みを放置すると、噛み癖につながる可能性があります。顎の力が強い分、噛み癖が事故につながる可能性が高いので、信頼関係を築いてコントロールしてあげることが必要です。問題行動は放置すればするほど修正が難しくなるので、行動が見られたらすぐにしつけの方法を見直すか、トレーナーに相談してください。
無駄吠え
ボストンテリアはあまり無駄吠えをするタイプではありませんが、留守番の際、独特の鳴き方で要求吠えをすることがあります。これは、一人でいることに慣れていないことにも原因があるので、家族が外出している時間を少しずつ伸ばしていく留守番トレーニングが必要です。
ボストンテリアに必ず教えたいしつけコマンド
まず、指示を出すときのコマンドは統一しましょう。1つの目的につき1単語が基本です。コマンドは、犬の興奮を抑える効果もあるので、緊急時にも役立ち、犬の安全を守ることができます。
ボストンテリアは、コマンドを覚えるのが少し苦手なので、時間をかけて根気よくトレーニングしましょう。
トイレトレーニング
ボストンテリアは、ほかの犬種と比較するとそこまでトイレトレーニングが大変なタイプではありません。屋内外問わず、教えた場所でできるようになります。短頭種で熱中症になりやすい犬種なので、夏場は散歩に行く時間帯が限られます。シートの上でも好きなときに排泄ができるよう、トレーニングしておきましょう。
おしっこをするときに「トイレ」や「ワンツー・ワンツー」と声をかけ、トイレの合図として定着させておくと、引っ越し後などもすんなりとトイレの場所を覚えさせることができます。
ポイントは、とにかく叱らないことです。上手にできたら褒める、を繰り返しましょう。
なかには飼い主の気を引くために、わざと間違った場所でおしっこをする犬もいます。そのような場合には、犬をクレートに入れるなどして飼い主が見えない場所に連れていき、犬がいない間に掃除をしましょう。
待て
「待て」は、ご飯やおやつをあげる前に教えると効果的です。完全に身体で覚えたら、毎回ご飯の度に無駄に待たせる必要はありません。拾い食いをしそうになったときなどに活用しましょう。家の中だけではなく、どんな状況下でもできるように、普段からトレーニングしておくことが大切です。「待て」のひと言で行動をコントロールすることができるようになれば、危険の回避にもつながります。
おすわり
「座ったらおやつをあげる」を繰り返して教えるのが一般的です。興奮しているときはもちろん、 散歩中、信号待ちの際に飛び出さないように落ち着かせることで、危険を回避できます。また、威嚇した様子の犬が近づいて来たときには、愛犬を道の端に座らせて、先に通過してもらうことでトラブルを防ぐこともできます。
ハウス
来客時や寝るとき、そして災害時などに必要なしつけです。インターホンが鳴ったときの無駄吠えなどをなくすためにも「ハウス」を使ったトレーニングは有効的。さまざまなしつけに応用して使えるコマンドです。
おいで
愛犬を呼び寄せるためのコマンドも大切です。遊びや運動を兼ねて「おいで」のトレーニングをすると身につきやすいです。まずは室内からはじめましょう。室内でできるようになったら、ドッグランなど屋外のさまざまな刺激がある場所でもできるよう、レベルを上げていきます。
自信をつけさせてあげるために、しつけの導入として行うのもおすすめです。
放せ・渡せ
顎の力が強いボストンテリアには、特に教えておきたいコマンドです。食べてはいけないものを口に入れたとき、人間が口をこじ開けることはほぼ不可能なので、おもちゃなどを使って「放せ」や「渡せ」のコマンドで口から出させるようにしておきましょう。
分離不安
散歩や外出時に抱っこしたまま肌身離さないのは、犬の社会化を妨げる原因にもなります。これらは分離不安につながることもあり、留守番ができなかったり、ペットホテルから宿泊を拒否されたりなど、生活にも影響が出てきます。
犬も人間と同じように、ほかの犬と触れ合ったり、ひとり遊びをしたりすることで、社会性を身につけます。
今まで社会化をしてこなかった犬が、突然「みんなと仲良く遊びなさい」と言われたり、飼い主さんがいなくなったりしたら不安になるのも無理はありません。そのせいで問題行動を起こすこともあります。
分離不安を治すためには、少しずつ時間をかけて社会化をしていくことが効果的です。飼い主への依存状態から脱却し、ほかの犬や人に慣れさせていきましょう。
ボストンテリアのしつけに必要なもの
ご褒美(おやつ)
練習は繰り返し行うものなので、ご褒美として与えるおやつは、ひと粒が小さく、太りにくい食材でできているものがおすすめです。食べ過ぎないようにコントロールしながら与えましょう。下痢を起こしやすい体質なので、身体に合ったものかどうかを見るためにも、少しずつ与えながら様子をみましょう。
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おもちゃ
おもちゃで遊ぶことが好きなボストンテリアには、飽きずに遊べるおもちゃを与えてあげましょう。特に、引っ張り合いができるものや音が鳴るもの、ぬいぐるみ系のおもちゃなどを好む傾向にあります。身体を使って遊ぶおもちゃのほか、一見運動につながらなそうなおもちゃでも、頭を使うものであれば体力を消耗し、ストレス発散につながります。
クレートの中で落ち着かせるためにおもちゃを用意したり、咥えたものを離させるトレーニングにもおもちゃを活用できます。
むやみに与えるのではなく、飼い主の顔を見ることができたらおもちゃを与えるなどルールを作っておくと、その後のしつけにも応用しやすくなります。
クレート・サークル
夜寝るときや留守番時だけでなく、トイレトレーニングや「ハウス」のコマンドトレーニング、無駄吠えをなくすトレーニングなど、さまざまなトレーニングで使います。愛犬にとってのお気に入りの場所になるよう、環境を整えてあげてください。
子犬のボストンテリアにしておくと良いしつけ
社会化トレーニング
ボストンテリアは飼い主と一緒にいることが好きなため、社会化が得意な犬種ではありません。成犬になってから他の犬に噛み付こうとするなどの問題行動に悩む飼い主もいます。子犬の頃からほかの犬と触れ合わせるのはもちろん、さまざまな場所へ連れていき、匂いを嗅がせるなど、刺激のある環境で遊んであげましょう。
そうすることで、他の犬ともコミュニケーションをとり、他人を必要以上に怖がったり、威嚇したりすることもなくなります。
子犬の時期はすべての犬にとって、社会化するのに大事なタイミングです。普通に暮らしていても社会化は難しいため、意識的に社会化トレーニングをすることが大切です。
ボストンテリアは暑さに弱いこともあり、散歩をないがしろにされる傾向にあります。そのため、涼しい時間帯を選ぶなどの工夫をしながら短い時間でも外へ連れ出してあげましょう。
去勢
ホルモンの分泌を抑えることができる去勢も、問題行動の解決策の1つになることがあります。生後7〜10カ月までに行うと効果的といわれます。ストレスを軽減させるために
問題行動の原因がストレスの場合には、しつけよりも先に根本的な原因を取り除くことが優先です。
十分な量の運動を行う
ボストンテリアは遊ぶことが好きな犬種なので、家族とボール遊びをしたり、引っ張り合いしたりする時間が必要です。ただし、呼吸器官にトラブルを抱えやすいため、たくさん走ったりすることができません。運動のさせ過ぎに注意しながら、遊ぶ時間を増やしてあげましょう。
音・環境に慣れさせる
雷や花火などの大きな音を苦手とする犬はたくさんいます。これらは自然現象なのでトレーニングで慣れさせることは難しいですが、パニックを起こしにくくする訓練は可能です。日常的な音が原因で無駄吠えをするなら、防音対策をしたり、音の原因を取り除いたりするなどの対応も、可能な限りやってあげるといいでしょう。
しかし、犬にとって不快な雑音のすべてを取り除くことは難しいです。ただ、犬は人間よりも環境の変化に敏感に反応する生き物なので、日々その音を聞かせて慣れさせるというトレーニングを行うことで、その音に徐々に慣れていき、問題行動も減っていきます。
ボディーコントロール
身体のどこを触っても嫌悪感を抱かせないために行うトレーニングです。ボストンテリアは特に、顔のしわや皮膚のお手入れが必須の犬種なので、日々のケアのために、顔も含めたボディーコントロールが大切です。
最終的には身体を仰向けにしてお腹を見せる「リラックスポジション」までできるようになることが、理想的な状態といえます。
ボストンテリアのしつけをトレーナーや教室に依頼するメリット
飼い主個人でしつけを行うにはどうしても難しい場合や、高いしつけ効果を望む方も多いと思います。そんなときは、プロにお願いするのも1つの方法です。
犬の社会化に効果がある
ほかの犬に吠えたり噛み付いたりする問題行動がある場合、個人で社会化のトレーニングをさせることは、危険やトラブルが伴うことがあります。しかし、トレーナーのもとやしつけ教室では、複数の犬と交流できることが多いため、プロの指導のもと適切なトレーニングを行うことが可能になります。
愛犬のことを客観的に知ることができる
家で一緒に過ごす愛犬の姿だけを見ていると、家族としての一面しか知ることができません。しかし、しつけ教室なら家族以外にもきちんと心を開く姿を見ることができたり、ほかの犬に対する意外な反応を見ることができます。
愛犬を客観的に知ることで、愛犬と飼い主との絆が、より強くなるでしょう。
まとめ
ボストンテリアは、甘えん坊でわがままな一面もありますが、一緒に暮らしやすい犬種です
子犬の頃からしつけや社会化トレーニングを行うことが大切です
運動量は必要ですが、呼吸器官にトラブルを抱えやすいため、激しい運動のし過ぎには注意です
家族が大好きでいつも甘えてきてくれるボストンテリア。
問題行動が多い犬種ではありませんが、甘やかし過ぎや健康面も含めてのコントロールは必要です。正しくしつけて、ボストンテリアとの暮らしをより健全で明るいものにしてください。
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