愛玩犬はかわいそう?愛玩犬の意味や犬種、歴史について紹介

愛玩犬というと、どんな犬を思い浮かべますか? チワワやマルチーズなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。実は、日本原産の狆も愛玩犬です。愛玩犬は「かわいそう」「嫌い」という声もありますが、その歴史や意味について解説します。

愛玩犬とは?

シーズー

犬の種類はとても多く、国際畜犬連盟(FCI)により公認されているだけでも344もの犬種がいます。その中で一般財団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)では約200犬種が登録されています。登録されている犬たちはジャパンケネルクラブ(JKC)などの愛犬団体がいくつかのグループに分け、その一種に「愛玩犬」があります。

人間が犬を飼い始めたそもそもの目的は、犬の能力を利用するためでした。そのため人間の仕事を助けるための能力を重要視されて改良されてきた犬たちが多いです。これらは使役犬といわれています。

それに対して愛玩犬とは、人間がかわいがることを目的として改良された犬たちのことです。人間はより幼い姿を好む傾向があり、大きくなっても子犬のようにかわいらしい姿を維持し、体も小柄な犬種が愛玩犬には多いです。

本来はJKCなどで愛玩犬として分類される犬種が決められているのですが、現在ではもともとは使役犬だった犬をペットとして飼うことも多くなり、小型のそれらの犬に対しても愛玩犬と呼ぶことがあります。



愛玩犬の歴史

マルチーズ

最初に犬が人間と暮らし始めたのは、人間が狩猟に犬の能力を利用したためでした。そのため愛玩目的ではなかったのですが、犬は人間の言うことを理解し、人間に強い愛情を抱く動物なので、単なる使役犬ではなく愛情の対象としての犬も存在するようになりました。

世界最古の愛玩犬と呼ばれているのはマルチーズです。現在ではさまざまな愛玩犬を見ることができますが、一昔前は愛玩犬と言えばマルチーズというくらい、日本でも人気の犬種でした。

マルチーズが人間に愛玩犬としてかわいがられていた歴史は、なんと紀元前1500年にさかのぼります。マルチーズの原種は貿易商人であったフェニキア人が、アジアからヨーロッパのマルタ島に持ち込んだ犬です。マルタ島で独自の発展をとげマルチーズと呼ばれる愛玩犬となりました。

現在の愛玩犬の中にはもともと愛玩犬ではなく大型犬種であったもののサイズを小さくしたものもありますが、マルチーズは最初から小さい犬でした。何かの役に立つことを期待されていたわけではなく、ただただかわいがる対象としての犬であったのです。

マルチーズは地中海の貴族たちから寵愛され、その後フランス、イギリスの王侯貴族たちにもかわいがられるようになります。そして現在でも愛玩犬として人々を癒やす存在となっているのです。


愛玩犬といえば

パピヨン

愛玩犬にはどんな種類の犬たちがいるのでしょうか。

愛玩犬の種類

ジャパンケネルクラブには愛玩犬として26種類の犬たちが登録されています。

参照:「世界の犬 : 9G 愛玩犬」(ジャパンケネルクラブ)


アニコム損害保険が行っている人気犬種ランキングでは、トイプードルが第1位、チワワが第2位、シーズーが9位、マルチーズが10位、フレンチブルドッグが11位、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが14位、パグが16位、パピヨン17位、ペキニーズ19位とたくさんの愛玩犬がランキング上位になっています。

そして、ミニチュアダックスフンドが5位、ミニチュアシュナウザーが7位となっており、正式には愛玩犬グループに属していませんが、一般的には愛玩犬とみなされている小型化された犬種が人気であることが分かります。

日本原産の愛玩犬っているの?

日本原産の愛玩犬としては「」がいます。狆は中国から朝鮮を経て日本に渡ってきた小型犬と考えられており、奈良時代に最古の記録が残っています。江戸時代には「生類憐みの令」で知られている第五代将軍 徳川家綱が江戸城で飼育しており、高級武士や吉原の遊女などが好んで愛玩していました。

しかし時代とともに洋犬が日本に入ってくると狆の数は激減し、現在ではあまり見かけることができない、珍しい犬となってしまっています。


愛玩犬を嫌いな人がいる理由

パグ

いつまでも子犬のような姿でかわいらしい愛玩犬ですが、愛玩犬が苦手、嫌いという方も少なからずいるようです。

うるさい

「小さい犬はよく吠える」と言われますが、ある意味それは本当であり、小さい愛玩犬たちはよく吠える傾向があります。それは体が小さいために、自分を守るための行動の一つであるのですが、これは飼育方法やしつけの仕方で極力抑えることができるので、周囲に迷惑をかける無駄吠えを防止するのは飼い主の責任ともいえます。


しつけができていない

愛玩犬といわれる小さい犬たちはしつけができていないことが少なくありません。本来の分類の愛玩犬ではない、ダックスフンドなどを含めてですが、愛玩犬のしつけができていない理由は飼い主さんが「小さいので制御できる」という気持ちが影響しているようです。

筆者は保護活動をしているので頻繁に動物病院へ行きますが、小型犬に待合室で吠えられることがときどきあります。大型犬だと飼い主さんも気を使っているようで、吠えるようであれば待合室の外で待っているか、他の人に吠えた場合は厳しく叱る姿が見られます。

周りの人が黙っているからといって、それに甘えずに、きちんとしつけをしてマナーを守るのは飼い主さんの義務ではないでしょうか。


愛玩犬でも犬らしい生活が必要

フレンチブルドッグ

小さい犬は飼いやすいという印象が強い点も、愛玩犬がペットとしての人気が高い要因でしょう。しかしどんなに小さくても「犬は犬」なので、犬として健全な生活をさせてあげる必要があります。

散歩が必要

あまり良心的でないペットショップやブリーダーなどでは、愛玩犬の飼育をすすめる場合、「散歩の必要がない」「トイレはケージの中でさせれば良い」などと言う場合がありますが、それは正しくありません

小さくても犬を外に連れ出して散歩させてあげる必要があります。散歩には運動させるという面もありますが、犬の知的好奇心を育て、満足させてあげるという面もあるのです。閉じ込めっぱなしの生活は健全な犬の生活とはいえません。


しつけ

小型の愛玩犬であっても他の人に迷惑をかけずに、人間の社会でうまく生きていけるようにしてあげるために、基本的なしつけは必要です。しつけには飼い主と犬の信頼関係をきちんと確立するという面もあります。

保護活動をしている中で、「カニンヘン・ダックスフンドを購入したが、面倒を見切れなくなったので返したい」という相談を受けたことがあります。散歩の必要がなく、底の部分が網状になっているケージに入れることで、トイレのしつけも必要ないと説明されたようです。

犬のための適切なケージの選び方を教え、トイレのしつけの仕方も教えて返すことはやめてもらいました。愛玩犬であっても飼い主が犬のことやしつけの仕方を勉強する必要があります。


ぬいぐるみではない

小さい愛玩犬を抱きかかえている人の多くは、首輪もリードもつけていないことが少なくありません。犬の安全のためにも外に出るときはリードを着用しましょう。

真夏の炎天下で浴衣を着せられたトイプードルを見たことがあります。リードは着用していませんでした。お祭りで人がごった返し蒸し暑い気温であるときに、そのような服を犬に着せて連れ回すのは適当ではないでしょう。

かわいい愛犬をたくさんの人に見てもらいたい気持ちは分かりますが、まずは犬の気持ちや健康面、安全面のことを第一に考えましょう。どんなにかわいくても、ぬいぐるみのように見えても、生きている犬ですので、犬として扱ってあげる必要があります。


愛玩犬は小さければ飼いやすいのか?

チワワ

「小さいので飼いやすい」という言葉はよく聞きますし、ペットショップでもそのようにすすめられることは少なくないでしょう。しかし小さければ飼いやすいというのは本当でしょうか。

近年ではより小さい品種を求めてティーカップ・プードルなどが産出されています。またチワワも本当にマグカップに入ってしまうほど小さい子がもてはやされます。

確かに見た目はかわいいですが、十分に注意をして飼ってあげる必要があります。体が小さいので暑さや寒さにも弱いですし骨もとても細く、何か病気や怪我をした際は治療が大変です。小さい子の手術は難しいですし、血管がとても細いので採血も難しいのです。

一時的な「かわいい!」という気持ちだけではなく、よく検討して家族に迎えることを決めてほしいと思います。

まとめ

愛玩犬
愛玩犬とは、人間がかわいがることを目的として改良された犬
愛玩犬はぬいぐるみではない
愛玩犬であってもお散歩やしつけは必要
愛玩犬はその犬の能力よりも見た目が重視されてきました。そのため遺伝疾患や体の弱い面がある犬もいます。愛玩犬はかわいくて癒やされる存在でありますが、飼育する際は病気や障害には充分注意をして飼ってあげる必要があります。