ボーダーコリーのしつけ方とは?飛びつきや無駄吠えなどについてトレーナーが解説
非常に頭が良く、身体能力も高いボーダーコリー。賢いからこそ、初心者が家族として迎えるには難しい犬種です。適切なしつけができていなければ、飛びつきや無駄吠え、噛み癖などの問題行動を起こす可能性があります。今回はボーダーコリーの性格を踏まえながら、適切なしつけ方についてドッグトレーナーの西岡が解説します。
目次
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ボーダーコリーをしつける前に
基本は主従関係よりも信頼関係
かつては「しつけ」というと、犬と飼い主の主従関係を築くことが基本であるといわれていました。しかし近年では、犬と飼い主がお互いに心を開き信頼し合うことが大切であると考えられています。信頼関係を築くことができない飼い主の行動の例として、ネガティブな気持ちを犬に押し付けたり、頭ごなしに叱ったり、一貫性のない行動をすることなどが挙げられます。
どんなに正しい方法でしつけをしていても、信頼し合えていない犬と飼い主がトレーニングをすることは難しいでしょう。
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ボーダーコリーの性格
ボーダーコリーは、さまざまな犬種のなかでも賢いと言われる利口な犬種です。また、多くの運動量と作業量も必要とします。「作業量」とは、ただ動くだけではなく、技や障害物を取り入れた頭を使う運動を行うことです。
愛犬にきちんと時間かけてあげられる家族に向いています。
「賢いから飼いやすい」と思われがちですが、実際は、犬と暮らした経験がある方でないと飼うことが難しい犬種です。
残念ですが、安易な気持ちで迎えた家族に手放されることが多いのも現実です。簡単に飼える犬種ではないことを念頭におきましょう。
ボーダーコリーに見られる問題行動
運動欲や作業欲をしっかり発散させてあげないと、さまざまな問題行動を引き起こします。問題行動が見られたら、早めの対応としつけの見直しを行ってください。
飛びつき
子犬の頃は可愛らしかった飛びつきも、成犬のボーダーコリーに飛びつかれると、転倒や怪我につながる可能性があります。例え子犬でも、散歩中に他人に飛びつけば、それがトラブルの元になることも考えられます。
家の中でも、飼い主に飛びついたら無視する、もしくは「ノー」と教えることを徹底し、落ち着いておすわりができたらおやつをあげるなど、コマンドとご褒美を与えながら教えていきましょう。
甘噛み・噛み癖
ボーダーコリーは、遊びにおける噛みつきでも洋服が破れるほどの力を持っています。痛みを感じるほど強く噛んできたら、遊びを中断し、一度落ち着かせましょう。成長過程で歯がかゆい子犬には、噛んで遊べるおもちゃを与えてください。
飼い主以外には強い力で噛みつくことも少なくありません。社会化やコマンドによるコントロールが大切です。
破壊行動
留守番中に家具を壊したり、ゴミを散らかしたりすることがあります。賢く、悪知恵が働きやすいことが理由の1つです。これらは、ストレスや退屈な時間がもたらすものなので、運動をたくさんさせることが効果的。
トレーニング要素を入れながらお散歩をすると、頭を使うことでより体力を消耗できます。
まだ若い場合は、いたずらができない環境作りも大切です。
犬をしつけることも重要ですが、サークルやゲージに入れて動ける範囲を限定したり、壊されては困るものを近くに置かないなど、飼い主側の工夫も必要です。
マーキング
少し神経質な性格から、オスはマーキングが多い傾向にあります。オスの本能によるものが大きいので、去勢することも1つの方法です。マーキングは、行動そのものをやめさせるよりも、縄張り意識がある「テリトリー」を狭めていくことが効果的です。本人が自分の場所だと認識する場所を限定していきましょう。
ボーダーコリーに必ず教えたいしつけコマンド
コマンドは、犬の興奮を抑える効果もあるので、緊急時にも役立ち、犬の安全を守ることができます。
覚えるのが早過ぎて、頭を使わず流れでやるようになることがあります。コマンドを覚えて時間が経ったら、コマンドを出す順番や行う場所を変えるなど、刺激を与えてコマンドを出す工夫をするようにしましょう。
トイレトレーニング
成長するとトイレを外でしかしなくなることも多いですが、できれば家に設置したトイレシートの上でもできることが理想です。犬が高齢になったとき、排泄のためだけに長時間散歩することは、愛犬にとって大きな負担になります。また、おしっこの色が確認できないので異変に気づく機会を失うことにもなります。
ポイントは、とにかく叱らないことです。上手にできたら褒める、を繰り返しましょう。
おしっこをするときに「トイレ」や「ワンツー・ワンツー」と声をかけ、トイレの合図として定着させておくと、引っ越し後などもすんなりとトイレの場所を覚えさせることができます。
なかには飼い主の気を引くために、わざと間違った場所でおしっこをする犬もいます。そのような場合には、犬をクレートに入れるなどして飼い主が見えない場所に連れていき、犬がいない間に掃除をしましょう。
待て
「待て」は、ご飯やおやつをあげる前に教えると効果的です。完全に身体で覚えたら、毎回ご飯の度に無駄に待たせる必要はありません。拾い食いをしそうになったときなどに活用しましょう。家の中だけではなく、どんな状況下でもできるように、普段からトレーニングしておくことが大切です。「待て」のひと言で行動をコントロールすることができるようになれば、危険の回避にもつながります。
おすわり
「座ったらおやつをあげる」を繰り返して教えるのが一般的です。興奮しているときはもちろん、 散歩中、信号待ちの際に飛び出さないように落ち着かせることで、危険を回避できます。また、威嚇した様子の犬が近づいて来たときには、愛犬を道の端に座らせて、先に通過してもらうことでトラブルを防ぐこともできます。
ハウス
来客時や寝るとき、そして災害時などに必要なしつけです。インターホンが鳴ったときの無駄吠えなどをなくすためにも「ハウス」を使ったトレーニングは有効的。さまざまなしつけに応用して使えるコマンドです。おいで
愛犬を呼び寄せるためのコマンドも大切です。遊びや運動を兼ねて「おいで」のトレーニングをすると身につきやすいです。まずは室内からはじめましょう。室内でできるようになったら、ドッグランなど屋外のさまざまな刺激がある場所でもできるよう、レベルを上げていきます。
自信をつけさせてあげるために、しつけの導入として行うのもおすすめです。
分離不安
ずっと一緒にいることは、犬の社会化を妨げる原因にもなります。これらは分離不安につながることもあり、お留守番ができなかったり、ペットホテルから宿泊を拒否されたりなど、生活にも影響が出てきます。
犬も人間と同じように、ほかの犬と触れ合ったり、ひとり遊びをしたりすることで、社会性を身につけます。
今まで社会化をしてこなかった犬が、突然「みんなと仲良く遊びなさい」と言われたり、飼い主さんがいなくなったりしたら不安になるのも無理はありません。そのせいで問題行動を起こすこともあります。
分離不安を治すためには、少しずつ時間をかけて社会化をしていくことが効果的です。飼い主への依存状態から脱却し、ほかの犬や人に慣れさせていきましょう。
ボーダーコリーのしつけに必要なもの
ご褒美(おやつ)
練習は繰り返し行うものなので、ご褒美として与えるおやつは、ひと粒が小さく、太りにくい食材でできているものがおすすめです。食べ過ぎないようにコントロールしながら与えましょう。\ペトコトおすすめのおやつ/
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おもちゃ
あらゆるおもちゃが好きで、上手に遊びます。ディスクなど、屋外で頭と身体を使えるおもちゃだと、なお理想です。クレートの中で落ち着かせるためにおもちゃを用意したり、咥えたものを離させるトレーニングにもおもちゃを活用できます。
むやみに与えるのではなく、飼い主の顔を見ることができたらおもちゃを与えるなどルールを作っておくと、その後のしつけにも応用しやすくなります。
クレート・サークル
夜寝るときやお留守番時だけでなく、トイレトレーニングや「ハウス」のコマンドトレーニング、無駄吠えをなくすトレーニングなど、さまざまなトレーニングで使います。愛犬にとってのお気に入りの場所になるよう、環境を整えてあげてください。甘えん坊で留守番があまり得意ではないボーダーコリーには、コングなどの頭を使うおもちゃを与え、寂しさから気が紛れるように工夫をすると良いでしょう。
子犬のボーダーコリーにしておくと良いしつけ
社会化トレーニング
子犬の頃からの社会化は必須です。多少、神経質な一面のある犬種のため、飼い主や家族以外の人には心を許さないボーダーコリーもいます。子犬の頃からほかの犬と触れ合わせるのはもちろん、さまざまな場所へ連れていき、匂いを嗅がせるなど、刺激のある環境で遊んであげましょう。
ボーダーコリーは牧羊犬なので、チョロチョロと動くものを追いかける習性があります。散歩中に見かける小型犬などに飛びつかないようにするためにも、小さい頃からコントロールできるトレーニングが必要です。
子犬の時期はすべての犬にとって、社会化するのに大事なタイミングです。普通に暮らしていても社会化は難しいため、意識的に社会化トレーニングをしましょう。
去勢・避妊
ホルモンの分泌を抑えることができる去勢も、問題行動の解決策の1つになることがあります。生後7〜10カ月までに行うと効果的といわれます。関連記事
ストレスを軽減させるために
十分な量の運動を行う
ボーダーコリーはまとまった量の運動が必要な犬種です。毎日の散歩はもちろん、山や海に出かけるレジャーなど、自然のなかで運動することは、とても良いストレス解消になります。ただし他の犬種と違い、お散歩や遊ぶ時間を増やし、ただ身体を動かすだけでは体力を持て余すことを意識しましょう。頭を使わせてあげることが重要です。
音・環境に慣れさせる
雷や花火などの大きな音を苦手とする犬はたくさんいます。これらは自然現象なのでトレーニングで慣れさせることは難しいですが、パニックを起こしにくくする訓練は可能です。日常的な音が原因で無駄吠えをするなら、防音対策をしたり、音の原因を取り除いたりするなどの対応も、可能な限りやってあげるといいでしょう。
ボーダーコリーは賢く従順ですが、神経質な面もある犬種なので、環境の変化を怖がることもあります。
さまざまなものや音に慣れさせるトレーニングを行うことにより、恐怖心を軽減できる可能性もあります。
ボディーコントロール
身体のどこを触っても嫌悪感を抱かせないために行うトレーニングです。子犬の頃から毎日少しずつ、負担のない程度に身体のさまざまな箇所を触る訓練が効果的です。
身体を仰向けにしてお腹を見せる「リラックスポジション」までできるようになることが、理想的な状態といえます。
ボーダーコリーのしつけをトレーナーに依頼するメリット
飼い主個人でしつけを行うにはどうしても難しい場合や、高いしつけ効果を望む方も多いと思います。そんなときは、プロにお願いするのも1つの方法です。
犬の社会化に効果がある
ほかの犬に吠えたり噛み付いたりする問題行動がある場合、個人で社会化のトレーニングをさせることは、危険やトラブルが伴うことがあります。しかし、トレーナーのもとやしつけ教室では、複数の犬と交流できることが多いため、プロの指導のもと適切なトレーニングを行うことが可能になります。
愛犬のことを客観的に知ることができる
家で一緒に過ごす愛犬の姿だけを見ていると、家族としての一面しか知ることができません。しかし、しつけ教室なら家族以外にもきちんと心を開く姿を見ることができたり、ほかの犬に対する意外な反応を見ることができます。
愛犬を客観的に知ることで、愛犬と飼い主との絆が、より強くなるでしょう。
まとめ
ボーダーコリーは賢い犬種で、神経質な一面もありますが、飼い主には従順です
身体的な運動のほか、頭を使った運動も必要な犬種です
子犬の頃からしつけや社会化トレーニングを行うことが大切です
ボーダーコリーは賢いからこそ、飼い主のレベルも問われます。
犬の行動をコントロールするためだけのしつけに加えて、次々と学習していくボーダーコリーの頭脳についていける飼い主でなくてはいけません。
すでに犬と暮らした経験があり、たっぷり運動や学習をさせてあげられる時間と労力がある方にぴったりの犬種といえます。
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