スピッツのしつけ方とは?無駄吠えやトイレトレーニングなどをトレーナーが解説
雪のような白い毛を持つスピッツは、寒さに強い分暑さに弱い犬種です。"よく吠え、うるさい犬種"というイメージの強い犬種ですが、近年はブリーダーの努力の結果、穏やかな性格になってきています。今回は、トイレや問題行動などのしつけ方法について、ドッグトレーナーの西岡が解説します。
目次
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スピッツをしつける前に知っておくこと
犬のしつけ方法は多種多様ですが、犬種に適したしつけ法を見つけるのがポイントです。さらに、飼い主が愛犬に合ったしつけ法を取捨選択していきましょう。
基本は主従関係よりも信頼関係
かつては「しつけ」というと、犬と飼い主の主従関係を築くことが基本であるといわれていました。しかし近年では、犬と飼い主がお互いに心を開き信頼し合うことが大切であると考えられています。信頼関係を築くことができない飼い主の行動の例として、ネガティブな気持ちを犬に押し付けたり、頭ごなしに叱ったり、一貫性のない行動をすることなどが挙げられます。
どんなに正しい方法でしつけをしていても、信頼し合えていない犬と飼い主がトレーニングをすることは難しいでしょう。
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スピッツの性格
日本で「スピッツ」とは一般的に、日本スピッツのこと指します。激しく無駄吠えをすることから、かつてはネガティブなイメージを持つ人もいましたが、ブリーダーの努力の結果、陽気で明るく、穏やかな性格の子が増えてきました。
飼い主と一緒にいることが好きな甘えん坊が多いです。
白くてふわふわの毛は厳しい寒さに対応していますが、反対に暑さには弱く熱中症にかかりやすいので、暑さ対策には十分な配慮が必要です。
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スピッツをしつける前に問題行動を知ろう!
スピッツの問題行動は、放置すると事故につながるものも多いです。問題行動が見られたら、早めの対応としつけの見直しを行ってください。
飛びつき
ぴょんぴょんと軽やかな動きをするスピッツの飛びつき。「特に問題ないだろう」と捉えられることもありますが、散歩中に他人に飛びつけば、それがトラブルの元になることも考えられます。家の中でも、飼い主に飛びついたら無視する、もしくは「ノー」と教えることを徹底し、落ち着いておすわりができたらおやつをあげるなど、コマンドとご褒美を与えながら教えていきましょう。
甘噛み
甘えん坊な性格のスピッツは、甘噛みをすることがあります。痛みを感じるほど強く噛んできたら、遊びを中断し、一度落ち着かせましょう。成長過程で歯がかゆい子犬には、噛んで遊べるおもちゃを与えてください。
無駄吠え
かつてほどではないですが、無駄吠えをしやすい犬種です。原始的な犬種のため、より野性的な行動を起こしやすいことには違いありません。神経質で、周りの変化に対して吠えることが多いスピッツには、吠える対象であるチャイム音や訪問客などに慣れさせることが効果的なので、家族同士で協力し合い、何度もチャイムを鳴らす訓練などを取り入れてみましょう。
【動画解説】犬の無駄吠えのやめさせ方
YouTubeのPETOKOTOチャンネルでは、ドッグトレーナーの西岡先生が無駄吠えのやめさせ方について解説した動画を公開しています。あわせてご覧ください。PETOKOTOチャンネルを見る
破壊行動
留守番中に家具を壊したり、ゴミを散らかしたりすることがあります。賢く、悪知恵が働きやすいことが理由の1つです。これらは、ストレスや退屈な時間がもたらすものなので、運動をたくさんさせることが効果的。
トレーニング要素を入れながら散歩をすると、頭を使うことでより体力を消耗できます。
まだ若い場合は、いたずらができない環境作りも大切です。
犬をしつけることも重要ですが、サークルやゲージに入れて動ける範囲を限定したり、壊されては困るものを近くに置かないなど、飼い主側の工夫も必要です。
マーキング
スピッツは、気の強さからマーキングをすることも少なくありません。オスの本能によるものが大きいので、去勢することも1つの方法です。
マーキングは、行動そのものをやめさせるよりも、縄張り意識がある「テリトリー」を狭めていくことが効果的です。本人が自分の場所だと認識する場所を限定していきましょう。
スピッツに必ず教えたいしつけコマンド
まず、指示を出すときのコマンドは統一しましょう。1つの目的につき1単語が基本です。コマンドは、犬の興奮を抑える効果もあるので、緊急時にも役立ち、犬の安全を守ることができます。
トイレトレーニング
成長するとトイレを外でしかしなくなることも多いですが、できれば家に設置したトイレシートの上でもできることが理想です。犬が高齢になったとき、排泄のためだけに長時間散歩することは、愛犬にとって大きな負担になります。また、おしっこの色が確認できないので異変に気づく機会を失うことにもなります。
おしっこをするときに「トイレ」や「ワンツー・ワンツー」と声をかけ、トイレの合図として定着させておくと、引っ越し後などもすんなりとトイレの場所を覚えさせることができます。
ポイントは、とにかく叱らないことです。上手にできたら褒める、を繰り返しましょう。
なかには飼い主の気を引くために、わざと間違った場所でおしっこをする犬もいます。そのような場合には、犬をクレートに入れるなどして飼い主が見えない場所に連れていき、犬がいない間に掃除をしましょう。
待て
「待て」は、ご飯やおやつをあげる前に教えると効果的です。完全に身体で覚えたら、毎回ご飯の度に無駄に待たせる必要はありません。拾い食いをしそうになったときなどに活用しましょう。家の中だけではなく、どんな状況下でもできるように、普段からトレーニングしておくことが大切です。「待て」のひと言で行動をコントロールすることができるようになれば、危険の回避にもつながります。
おすわり
「座ったらおやつをあげる」を繰り返して教えるのが一般的です。興奮しているときはもちろん、 散歩中、信号待ちの際に飛び出さないように落ち着かせることで、危険を回避できます。また、威嚇した様子の犬が近づいて来たときには、愛犬を道の端に座らせて、先に通過してもらうことでトラブルを防ぐこともできます。
ハウス
来客時や寝るとき、そして災害時などに必要なしつけです。インターホンが鳴ったときの無駄吠えなどをなくすためにも「ハウス」を使ったトレーニングは有効的。さまざまなしつけに応用して使えるコマンドです。
おいで
愛犬を呼び寄せるためのコマンドも大切です。遊びや運動を兼ねて「おいで」のトレーニングをすると身につきやすいです。まずは室内からはじめましょう。室内でできるようになったら、ドッグランなど屋外のさまざまな刺激がある場所でもできるよう、レベルを上げていきます。
自信をつけさせてあげるために、しつけの導入として行うのもおすすめです。
分離不安
散歩や外出時に抱っこしたまま肌身離さないのは、犬の社会化を妨げる原因にもなります。これらは分離不安につながることもあり、お留守番ができなかったり、ペットホテルから宿泊を拒否されたりなど、生活にも影響が出てきます。
犬も人間と同じように、ほかの犬と触れ合ったり、ひとり遊びをしたりすることで、社会性を身につけます。
今まで社会化をしてこなかった犬が、突然「みんなと仲良く遊びなさい」と言われたり、飼い主がいなくなったりしたら不安になるのも無理はありません。そのせいで問題行動を起こすこともあります。
分離不安を治すためには、少しずつ時間をかけて社会化をしていくことが効果的です。飼い主への依存状態から脱却し、ほかの犬や人に慣れさせていきましょう。
スピッツのしつけに必要なもの
ご褒美(おやつ)
練習は繰り返し行うものなので、ご褒美として与えるおやつは、ひと粒が小さく、太りにくい食材でできているものがおすすめです。食べ過ぎないようにコントロールしながら与えましょう。\ペトコトおすすめのおやつ/
PETOKOTO FOODS おやつは四国産若どりや鹿児島県産の紫いも、青森県産のりんごなど国産食材をふんだんに使用し、獣医師が監修した保存料無添加のおやつです。
- 全犬種・全年齢が対象!
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水に浸すと食材本来の歯応えに戻るため子犬からシニア犬まで楽しんでいただけます。
※おやつやトッピングとして与える場合、与える量は1日の最適カロリー量の10%以内になるようにしてください。1日の最適カロリー量はペトコトフーズの「フード診断」(無料)で簡単にわかります。
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おもちゃ
飼い主と遊ぶことが好きなスピッツには、一緒に遊べるおもちゃを与えてあげると喜びます。飼い主の指示に従って、投げたら持ってこられるボール、噛んだり引っ張ったりすることができる木やロープでできたおもちゃなどがおすすめです。
身体を使って遊ぶおもちゃのほか、一見運動につながらなそうなおもちゃでも、頭を使うものであれば体力を消耗し、ストレス発散につながります。
クレートの中で落ち着かせるためにおもちゃを用意したり、咥えたものを離させるトレーニングにもおもちゃを活用できます。
むやみに与えるのではなく、飼い主の顔を見ることができたらおもちゃを与えるなどルールを作っておくと、その後のしつけにも応用しやすくなります。
クレート・サークル
夜寝るときや留守番時だけでなく、トイレトレーニングや「ハウス」のコマンドトレーニング、無駄吠えをなくすトレーニングなど、さまざまなトレーニングで使います。愛犬にとってのお気に入りの場所になるよう、環境を整えてあげてください。
子犬の時期からしておくと良いしつけ
社会化トレーニング
無駄吠えがなくなってきているとはいえ、神経質な一面は多少見られます。そのため、スピッツにとって社会化トレーニングは必須です。子犬の頃からほかの犬と触れ合わせるのはもちろん、さまざまな場所へ連れていき、匂いを嗅がせるなど、刺激のある環境で遊んであげましょう。
子犬の時期はすべての犬にとって、社会化するのに大事なタイミングです。普通に暮らしていても社会化は難しいため、意識的に社会化トレーニングをすることが大切です。
去勢
ホルモンの分泌を抑えることができる去勢も、問題行動の解決策の1つになることがあります。生後7〜10カ月までに行うと効果的といわれます。ストレスを軽減させるために
問題行動の原因がストレスの場合には、しつけよりも先に根本的な原因を取り除くことが優先です。
十分な量の運動を行う
スピッツはまとまった量の運動が必要な犬種です。散歩の時間を増やしたり、遊ぶ時間を作ってあげたりすることが、ストレス解消に一番効果があります。ぴょんぴょんと跳ねる動きを日常的にするので、運動量は比較的多いですが、それでも肥満気味になることもあります。ふわふわな毛に隠れた体のシルエットも、手で触って管理するようにしましょう。
音・環境に慣れさせる
雷や花火などの大きな音を苦手とする犬はたくさんいます。これらは自然現象なのでトレーニングで慣れさせることは難しいですが、パニックを起こしにくくする訓練は可能です。日常的な音が原因で無駄吠えをするなら、防音対策をしたり、音の原因を取り除いたりするなどの対応も、可能な限りやってあげるといいでしょう。
しかし、犬にとって不快な雑音のすべてを取り除くことは難しいです。ただ、犬は人間よりも環境の変化に敏感に反応する生き物なので、日々その音を聞かせて慣れさせるというトレーニングを行うことで、その音に徐々に慣れていき、問題行動も減っていきます。
ボディーコントロール
身体のどこを触っても嫌悪感を抱かせないために行うトレーニングです。全身の真っ白な毛のお手入れをするためには欠かせないトレーニングですので、ぜひ行ってください。子犬の頃から毎日少しずつ、負担のない程度に身体のさまざまな箇所を触る訓練が効果的です。
膝の上に乗せてお腹を見せる「リラックスポジション」までできるようになることが、理想的な状態といえます。
被毛が長いスピッツの場合には、お腹の裏についた汚れなども、これによって落としやすくなります。
スピッツのしつけをトレーナーや教室に依頼するメリット
飼い主個人でしつけを行うにはどうしても難しい場合や、高いしつけ効果を望む方も多いと思います。そんなときは、プロにお願いするのも1つの方法です。
犬の社会化に効果がある
ほかの犬に吠えたり噛み付いたりする問題行動がある場合、個人で社会化のトレーニングをさせることは、危険やトラブルが伴うことがあります。しかし、トレーナーのもとやしつけ教室では、複数の犬と交流できることが多いため、プロの指導のもと適切なトレーニングを行うことが可能になります。
愛犬のことを客観的に知ることができる
家で一緒に過ごす愛犬の姿だけを見ていると、家族としての一面しか知ることができません。しかし、しつけ教室なら家族以外にもきちんと心を開く姿を見ることができたり、ほかの犬に対する意外な反応を見ることができます。
愛犬を客観的に知ることで、愛犬と飼い主との絆が、より強くなるでしょう。
まとめ
スピッツは陽気で明るい性格ですが、吠え癖がつきやすい犬種です
子犬の頃からしつけや社会化トレーニングを行うことが大切です
気が強い一面もあるので、無駄吠えや噛み癖のしつけは重要です
ブリーディングによって穏やかになったスピッツは、より家庭犬として親しみやすい犬種となりました。しかし、本来持つ神経質さをコントロールし続けるためには、飼い主の努力は欠かせません。
ネガティブなイメージをさらに払拭するためにも、正しい知識でトレーニングを行いましょう。
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