【獣医師監修】猫が食べていいものまとめ|野菜・果物・穀物・肉など効果や注意点

【獣医師監修】猫が食べていいものまとめ|野菜・果物・穀物・肉など効果や注意点

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猫に野菜や果物、穀物を与えても大丈夫ですが、それぞれ食べていいもの、いけないものがあります。愛猫が健康に育ってほしいと願う飼い主さんのために、猫が食べて良いものを魚介類や乳製品なども合わせ、栄養素や期待される効果を紹介します。

猫のが食べてよいものの前に食性を理解しよう

フード

猫は5000〜7000年前から家畜として人と暮らしてきました。犬は3万2000〜1万8000年前からですので、犬よりも猫は野生の環境で暮らしてきた歴史が長いことが分かります。そのため犬はもともと肉食動物でしたが人と暮らす中で雑食動物へと変化し、猫は現在も完全肉食動物のままです。

犬は群捕食者といって群れになって獲物を狩るのに対し、猫は単独捕食者といって単独で獲物を狩る捕食傾向があります。犬は「間欠採食」といって一度にたくさん食べて、その後はしばらく食べない(食べられない)という食事方法をしますが、猫は「少量頻回採食」といって少ない量の食事を数回にわけて食べる食事の仕方をします。

猫がグルメと呼ばれる所以は食習慣があった?

犬は腐敗肉食といって、獲物を捕ってから地面に肉を隠して定期的に食べる習慣がありました。猫にはそういった習慣がなく、新鮮で温かいものを好みます。猫がグルメと言われる所以の一つかもしれませんね。

犬(イエイヌ) 猫(イエネコ)
家畜化時期 3万2000〜1万8000年前 5000〜7000年前
品種 500種を超える 50種弱
食性 雑食(肉食に近い) 肉食
捕食系統 群捕食者 単独捕食者
採食パターン 間欠採食・腐敗肉食 少量頻回採食・新鮮肉食

猫に必要な栄養素

食生活の歴史を見ても、猫は肉食動物であるため、肉が栄養の一番の補給源となってきました。炭水化物、脂肪、タンパク質、ミネラル、ビタミンを5大栄養素と呼び、中でも炭水化物、脂肪、タンパク質は3大栄養素と呼ばれ、生きるために体外から取り入れる必要があります。

肉は脂肪とタンパク質を補給できる重要な食べ物です。この3大栄養素の他にも利尿作用を促すミネラルの一種であるカリウムや、皮膚や毛艶をよくするビタミンなど、猫の健康にとって良い成分は多くあります。

猫には総合栄養食のキャットフードで偏り無く栄養素を摂ることができますが、疾患や便秘など体調の変化によっては野菜など他の食物から栄養を摂取する必要があります。

愛猫の健康のために手作りごはんを食べさせてあげたいと思う飼い主さんも少なくないでしょう。本記事では猫が食べても良いものを紹介します。人間が食べて大丈夫でも猫が食べてはいけないものも多くありますので、きちんと理解した上で与えるようにしてください。

猫が食べて良いもの

フード

猫が食べて良いものであったとしても、食べ過ぎれば毒になります。総合栄養食のキャットフードを基本的として、おやつやトッピング程度に与えてあげるようにしてください。人間と同じく、バランスの良い食事が大切です。

疾患を持つ猫ちゃんによっては与えない方が良い食材もあります。気になる場合は。かりつけの獣医師に相談してください。また、健康な子でもアレルギー症状が出る場合があります。初めて与えてから数回は少量にして、気になる症状が出た場合はすぐに獣医師に相談してください。

与えていい量

総合栄養食へのトッピングやおやつとして与える場合、1日の最適カロリー量の10%以内にしてください。

野菜

猫は肉食動物のため人間のように野菜を摂取する必要はありませんが、栄養の補完に利用することはできます。実際、総合栄養食のキャットフードにもさまざまな野菜が含まれています。

野菜にはビタミンや食物繊維が多く含まれることが多く、皮膚の健康維持や便秘解消などの効果が期待できます。トマトなど酸味のある野菜は、猫が酸味を拒絶する傾向があるので好き嫌いが分かれるかもしれません。

野菜 主な成分 期待される効果
レタス ビタミンC、ビタミンEなど 抗酸化作用、免疫力向上など
キャベツ ビタミンC、葉酸、ビタミンKなど 便秘解消など
かぼちゃ ビタミンA、ビタミンKなど 抗酸化作用、利尿作用など
トマト リコピン、ビタミンCなど 抗酸化作用など
きゅうり βカロテン、カリウム、ビタミンKなど 視力維持や皮膚の健康、利尿作用、血液と骨の健康など
ほうれん草 ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなど 血液と骨の健康、老化や免疫力の低下防止など
とうもろこし ビタミンB、ビタミンE、カリウムなど 利尿作用、血液と骨の健康など
じゃがいも ビタミンC、ビタミンB6、鉄分など 便秘解消など
大根 ビタミンB、カリウムなど 肥満防止、利尿作用など
にんじん βカロチンなど 抗酸化作用など
ブロッコリー ビタミンC、葉酸、ビタミンKなど 酸化ストレス防止、毛艶の維持など
アスパラガス アスパラギン酸など 免疫力アップ、抗酸化作用など
白菜 ビタミンC、ビタミンKなど 酸化ストレス防止、毛艶の維持など
小松菜 ビタミンK、モリブデンなど 毛艶の維持、造血作用など
枝豆 ビタミンC、カリウムなど 毛艶の維持、利尿作用など
豆苗 βカロテン、ビタミンKなど 視力維持や皮膚の健康、血液と骨の健康など
水菜 βカロテン、カリウムなど 視力維持や皮膚の健康、利尿作用など
干し芋 ビタミンE、カリウムなど 抗酸化作用、利尿作用など

果物

猫に果物を積極的に与える必要はありませんが、栄養の補完に利用することはできます。果物にはビタミンや食物繊維が多く含まれることが多く、皮膚の健康維持や便秘解消などの効果が期待できます。トマト同様、オレンジやキウイ、梅などの果物は、猫が酸味を拒絶するため、好き嫌いが出るでしょう。

果物 主な成分 期待される効果
スイカ ビタミンAなど 皮膚の健康維持、便秘解消など
バナナ ビタミンB6、モリブデンなど 皮膚や粘膜の健康維持など
さくらんぼ カリウム、ビタミンAなど 利尿作用など
メロン ビタミンB6、カリウムなど 便秘解消、利尿作用など
いちご ポリフェノールなど 皮膚の健康維持、抗酸化作用など
タンニン、アルギニンなど 皮膚の健康維持、利尿作用など
ビタミンEなど 抗酸化作用、皮膚の健康維持など
ブルーベリー ビタミンEなど 抗酸化作用、皮膚の健康維持など
パイナップル チアミンなど 抗酸化作用、皮膚の健康維持など
ソルビトールなど 便秘解消など
マンゴー ビタミンEなど 抗酸化作用、免疫力向上など
キウイ ビタミンC、ビタミンEなど 便秘解消など
みかん ビタミンC、ビタミンAなど 皮膚の健康維持、便秘解消など
チアミンなど 抗酸化作用、皮膚の健康維持など

穀物

穀物は肉食動物である猫にとっても効率的なエネルギー源になります。お米も炊いてあれば猫も食べられますが、人や犬ほど消化に良いものではありません。お腹の調子を悪くしたり肥満の原因になったりしますので、タンパク質を中心にバランス良く摂ることが大切です。

穀物 主な成分 期待される効果
枝豆 タンパク質、ビタミンなど 皮膚の健康維持など
納豆 ビタミンK、ナットウキナーゼなど 血液や血管の健康をサポートなど
きな粉 タンパク質、食物繊維など 筋肉の成長や便秘防止など<
炭水化物など 特になし
パン 炭水化物など 特になし

肉類

肉食の猫にとって肉類は欠かせないタンパク源です。生肉には細菌感染に注意が必要です。

肉類 主な成分 期待される効果
牛肉 タンパク質、ビタミンB12、ナイアシンなど 神経機能の維持や皮膚の炎症防止など
豚肉 タンパク質、ビタミンB1など 筋肉の成長や疲労回復など
鶏肉 タンパク質、ビタミンK、セレンなど 筋肉の成長やガン予防など
馬肉 ビタミンB12、セレンなど 疲労回復やガン予防など
鹿肉 ナイアシン、ビタミンB6など 皮膚の炎症防止や免疫機能の維持など

魚介類

魚介類は鮭など豊富なタンパク質となる食材もありますが、刺身など生で食べる際には注意すべき点もあります。

魚介類 主な成分 期待される効果
DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
ナイアシンなど 皮膚や粘膜の炎症防止など
マグロ DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
ナイアシンなど 皮膚や粘膜の炎症防止など
カツオ DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
サンマ DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
カニ タンパク質、アスタキサンチンなど 目や皮膚、細胞の健康を維持持など
タコ カリウム、ビタミンEなど 利尿作用、抗酸化作用など
エビ ビタミンE、タウリンなど 貧血、視力の維持など
ホタテ ビタミンE、タウリンなど 貧血、視力の維持など
イカ DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
ブリ(鰤) DHA、EPAなど 網膜や神経組織の発達など
うなぎ ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2など 網膜や神経組織の発達など
シシャモ(カペリン) カルシウム、DHA、EPAなど 骨折予防、網膜や神経組織の発達など

乳製品

牛乳などの乳製品は乳糖が多く、乳糖不耐症で下痢になってしまう可能性が高いですが、ヨーグルトやチーズ、ヤギミルクなどは乳糖が少ないため、健康的な飲料です。ただし、アレルギーなどを持つ猫ちゃんもいますので、それぞれ与える前は必ず記事を読んだ上で与えるようにしましょう。

乳製品 主な成分 期待される効果
チーズ βカロテン、ビタミン類 など 抗酸化作用 など
ヨーグルト 乳酸菌 など 腸内環境を改善 など

その他

きのこ類や海藻類など、猫にとって健康な食材もあります。一方で調理方法など気を付けるべき点もありますので、注意して与えるようにしましょう。

その他 主な成分 期待される効果
はちみつ ビタミン、ミネラルなど エネルギー補給など
昆布 ビタミンK、グルタミン酸など 腸の働きをサポートなど
ごま ゴマリグナン、セサミンなど 老化抑制効果など
海苔 ゴマリグナン、セサミンなど 老化抑制効果など
タンパク質など 筋肉の成長など
蕎麦 タンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2など 疲労回復、被毛の維持など

愛猫の健康は飼い主さんがつくります

猫との生活

愛猫の健康は食生活が大きく影響します。そのため、飼い主さんが理解と知識を持って、正しい健康管理を提供してあげるようにしましょう。素敵なにゃんこライフを楽しんでくださいね!

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